第46話 演説!プリンセスVS悪役令嬢!

新たなチャレンジャーを迎えた選挙に備え

麗ちゃんはあたしの家で作戦会議をする事にした


「ああああああ…わたくし、プリンセスに

 一度も勝てた事ないんですわあああああああ」

あたしのベッドの上を転がる麗ちゃん

これもすっかりおなじみになったなぁ


「だからこそ、今回初めて勝つ」

「…え?」

「だよね?」

「も、もちろんですわ!今度こそ、ちゃんと戦って勝ちますわ!」

大体、レイシィは卑怯な手を使うと、それをひっくり返されて負けている

ナースを騙すためでもあったから、仕方ないんだけど…悔しかったと思う


「今回は卑怯な手は使わなくていい!

 純粋な強い麗ちゃんを見せてやろう!」

「美遊様は、わたくしを乗せるの上手いですわね…!

 やる気出てきましたわよ!」

「大丈夫。今のプリンセスには弱点がある」

すっ、と右手の指を立てて不敵な笑みを浮かべる


「おおおお、なんだかよくわかんないですけど、カッコいいですわね!」

「でしょー」

にっこりと笑いあうあたしと麗ちゃん


「それにね…彼女はここで止めた方がいい

 …と思うんだけど」

「ええ、わたくしも……そう思いますわ」

やっぱり麗ちゃんも、彼女に気になる点があるらしい


「よし!じゃあ、何を演説するかからはじめよっか」

「らじゃーですわ!」


それから演説の原稿を書き、イケメンに添削してもらい

公約の内容が実現可能か先生に聞いたり、ポスターを作ったり…


あれやこれやをしていると、あっという間に2週間が過ぎて行った




そして一番のキーポイント、選挙演説が始まる

体育館に集められた森木学園中学生一同

ここで立候補者の演説を聞くことになっている

そして演説が終わり体育館から出た後、教室で投票

つまり、演説が頭に残ったまま投票なのだ


演説は立候補者三人のうちの一人、プリンセスからはじまった



『双葉姫子さん、どうぞ』


「皆さんはじめまして。今回の生徒会長に立候補させていただいた、双葉姫子です」

ぺこりとおじぎをするプリンセス

正直、令嬢の麗ちゃんより礼儀正しいんじゃないかな


「私は転校してきたばかりですが、みなさんの優しいご指導もあり

 すぐ本校に慣れることができました」

「…ただ、私とは違った形で、学内で不安を持たれている方も

 いらっしゃると思います」

「私はそんな方々のお役に立ちたいのです」

転校してきた話から、目標の話へすっ、と移行した

こういう話し方は上手いと思う

この手管で何人のユニットを篭絡したか…


「そこで、私が生徒会長になった時は、生徒会室に『目安箱』を設置しようと思います」

「みなさんのお悩みを解決し、よりよい学園生活を送っていただく事が目標です」

「どうか、私にみなさんの温かい一票を、よろしくお願いします」

…やっぱり、プリンセスならそんな感じの演説になるな…



『続いて、来知麗さんです。どうぞ』


「今回、生徒会長に立候補した来知麗ですわ!皆様よろしくですわ!」

プリンセスと同じようにおじぎをするが

オーバーアクションすぎて、机に頭をぶつけそうになる

すっごい子供っぽい

…三歳の違いでここまで変わるものかなー…?


「わたくしが提案するのは、『楽しい学園生活』ですわ!」


「政策の目玉として『放課後、自由にイベントを行う権利』を考えてますわ!」

「生徒会室でちょろっと一筆書くだけで、放課後の教室を借りて

 好きなイベントを行うことができますわ!」

「ゲーム大会をしてもいいし、お菓子を持ち寄ってお茶会してもいいですわ!」

「細かいところは詰めていきますが、先生方もできなくはないとおっしゃってますわ!」

明らかにできない公約をかかげるのはいけないので、ここはしっかり確認した


「やりたい事をやれる楽しい学園を!わたくしに、熱い一票お待ちしてますわ!」

麗ちゃんは最後、ウインクで演説を締めた

演説内容以外は麗ちゃんのアドリブなんだけど、ノリノリだなぁ



『最後、十堂花道くんです』



………

……



…やれるだけはやったと思う

後は結果がついてくるかどうか……

教室に戻る途中の廊下、みんなの声を耳をそばだてて聞いてみる


「えー、どうする?悩むよー」

「わたし姫子ちゃんにしようかな…?

 なんかね、守ってあげなきゃ、って感じがする」

「わかるー」

「来知麗ちゃんっていう…あれ小学生じゃないん?大丈夫?」

「いや、その前に演説してた姫子ちゃんも、背は小さかったろ?」

「俺のロリコンセンサーでは、なんかガチの小学生な気がするんだよなー」

「…お前小さい子好きだったの?」

「ボクはゲーム大会開きたいから、麗ちゃんいいな」

「そこで参加者を増やして、ゆくゆくはE-SPORTS部を立ち上げるのだ」

「お、いいねぇ」

「十道くんは無いかな…?」

「ああ、ガチガチで喋れなかったもんな…」

「かわいそうだけど、来年に期待しよう」


実質、麗ちゃんとプリンセスの一騎打ちのようだ

…果たして、誰が生徒会長に選ばれるのか…

結果は開票が終わる一時間後に…!

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