第45話 説得!黒ギャルユニット美遊

あたしと麗ちゃんは、正式な生徒会選挙の立候補をしに

生徒会室にやってきていた


「じゃあ、ここに名前書いてもらえるかな?」

イケメンが一枚の紙とペンを出して机に置く


「わかりましたわ!」

その立候補者一覧と書かれた紙に、麗ちゃんが名前を記入する

見た感じ他の候補者は、まだ申し込んでいないようだった


「ふふふ、いよいよわたくしの野望の第一歩ですわね」

上機嫌な麗ちゃんは、また椅子に座りながら足をぶらぶらさせてる

完全に癖ついちゃってるなー、これは


…と、そこに


トントン


生徒会室の扉を叩く音


「すみません…選挙の申し込みは、ここでよろしかったでしょうか?」

「ああ、そうだよ。入ってきて」

イケメンが入室を促す

その声に導かれ、入ってきたのは…


「あれ?れーちゃんだ」

「プリンセス?!どうしてここに?!」

「いや、生徒会長に立候補しようかと」

「むむむ」

麗ちゃんの機嫌が一気に悪くなる


「わたくしは二か月前から学校にいましたわ!

 転校してきたばかりのあなたには、相応しくないのではなくて?」

二か月って…そんなに変わらないのでは?


「え、じゃあ、立候補者に三か月前から学校にいた人がいたら

 れーちゃんは辞退するの?」

「戦う前に辞退などありえませんわ!」

「じゃあ、私もやめないよ」

「ぐぬぬぅ」

そしてあっさり言い負かされる麗ちゃん

これ、プリサガでよく見る展開だ!


「ふふふ、今のは軽いジャブですわ

 これしきの口撃で諦めるようなら、端から資格など無かったという事…」

「れーちゃんは相変わらずだね」

「それでこそ張り合いがあるというものですわ!

 かかってきなさい!わたくしの永遠のライバル!」

「負けないよー」

ライバル視してつっかかってる方の勝率って、極めて低いんだよね…

あのアニメしかし、あのゲームしかり……


「美遊さん」

「なにかな?」

プリンセスから話しかけられた

麗ちゃんの手前だから控えてるけど、ホントはサインとか欲しい


「れーちゃん、ちょっと無理しちゃうところあると思うんですよ」

「まあ、そうだね」

「生徒会長になんてなったら、小さな身体でさらに頑張っちゃうことに…」

「その可能性は否定しないけど…」


「ここは、れーちゃんを休ませるために、私に協力していただけませんか?」


…で、出た!プリンセスの十八番!

説得コマンドでユニットを寝返らせる技!


「ちょー?!」

生で引き抜き現場を見せられて、思わず叫びだす麗ちゃん


「ず、ずっこいですわ!美遊様を篭絡しようなどと…!」

篭絡って

いや、確かにプリンセスも幼女かわいいけどぉ


「プリンセスはいっつもそうですわ!

 気が付いたらわたくしの味方は、どんどんプリンセスの方に…」

ああ、うん

あたしもプリンセスを操って、レイシィの味方をどんどん引き入れておりました

使い手のあるユニット多いんだよね、レイシィの部下

レイシィとの対決で、もはや彼女の味方は

催眠魔法で操った二人だけ…なんてことも

……なんかその…ごめんね?


「わ、わたくしを捨てないでください美遊様ぁ…」

オロオロし、泣きながらしがみついてくる麗ちゃん

…やっばい、超かわいい

そりゃ、仲間に二桁単位で裏切られたら、こうもなりますわ


「大丈夫、麗ちゃんが無理しないように、あたしが支えるから」

いつものなでなでをして、麗ちゃんを落ち着かせるあたし


「…それにね?

 無理しやすいのはひめちゃんの方じゃないかな?」

「…むー」

むくれるプリンセス

ゲームやった身としては、プリンセスの頑張る姿は

素敵なんだけど心配にもなる


「そうですね。美遊さんが側にいれば大丈夫ですね」

「うんうん」

「れーちゃんの事、よろしくお願いします」

ぺこり、と笑顔でおじぎをするプリンセス


…あれ?

これひょっとして、言質とろうとしてたのかな?

麗ちゃんを一人にしないように誘導した?

そんな心配しなくても、あたしは麗ちゃんの味方だけどね


「あ、でも負けるつもりは無いですからね!」

一方的に宣言をして、扉を閉め出ていくプリンセス

お話は終わり、ここからは勝負ですよ!という訳だ



「…いやー、美遊さん、リトルレディたちにモテモテだね」

今まで傍観していたイケメンが口を挟む

まあ、彼女たちの事情知らないと、そういう反応になるよね


「あ、あたしは麗ちゃん一筋だよ?」

「だろうねー

 ボクも誤解されることが結構あってさ」

イケメンだからなぁ…色んな彼女との交友関係を妄想されるのだろう

でも本人はブラコンという


「…ところで……あの子、申し込みの名前書かずに出て行ったんだけど」

「結構ドジっ子だね、ひめちゃん」

「このままド忘れしててくれないかしら…」

しかし、麗ちゃんの願い空しく

しばらくしたらプリンセスは、名前を書きに戻ってきたのだった

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