第43話 合法!転生ロリおばあちゃん!

「えー、本日はお日柄もよく…」

「美遊様、それ結婚式の挨拶ですわ」

「…こほん、えー、本日お集まり頂いたのは

 みなさんそれぞれ、どういった経緯でこの世界に集まったのか

 話しておこう、ということです」

「ああー、確かに気になりますね」

「でしょ?」

「でも、美遊さんは、前世でお見かけしなかったんですけれど

 …ナースに攻められていたダークエルフ村のご出身でしょうか?」

「に、人間だよ!ダークエルフじゃないよ!転生したことは無いよ!」

黒いってだけでダークエルフ扱いされたのは人生初めてだよ!

そしてたぶんこれからも無いよ!


「あ、麗ちゃん笑ってる?!」

「た、確かにそう見えなくもないですが…ぷっ」

いかん、麗ちゃんの笑いの笑いのツボに入ったらしい、ぷるぷる震えてる

しばらく動けないなこれは…


「えっと…じゃあ、あたしが説明するね?」


………

……


「…かくかくしかじかそういう訳で、マウンテンさんの助言も受けて

 あたしと麗ちゃんがナースを撃退。催眠魔法で、前世の記憶を消したという訳」

ぽかーんとした顔であたしの話を聞くプリンセス

ほ、本当なんです?と、マウンテンさんと麗ちゃんに目配せをするが

本当だよ、と二人ともうなずくので、もう信じるより他が無い


「す…すごいです!まさか二人でナースを倒してしまうなんて…!」

輝く瞳になるプリンセス

ゲームでも二人以下だとコンボが組めず突破できないので

たぶんこれが一番少人数だと思います


「本来なら竜の障壁を破る竜殺しのアイテムを持った三人で

 囲まないといけないのに…」

「え、あれ、そういうイベントだったの?!」

バグのせいで、攻略班は誰も本来のイベントを知らないのだった


「けど、お前が転生した理由がわかんねぇ…心当たりはあるか?」

そうなんだよね…ナースがわざわざ呼ぶとは思えない


「あ、私のは自主的です」

「自主的?!」

自分で転生してきたって事?!


「戦いに勝った後、私は国を治めました

 みんなの頑張りもあって、その後は戦いもなく平和な日々が続きました

 けれど、私には心残りがあったんです」

心残り…レイシィが死んだことは悔やんでるだろうけど

だからってどうしようもないし…何だろう?わからない


「日本にいる両親は、元気だろうか…って」

「あ、じゃあ…やっぱり…!」

「はい。ある日トラックに轢かれた私は

 この日本から、奇跡的に記憶を保持したまま

 ユグドラシル世界に転生したんです」

マヨ卵かけライス…!


「最後に倒した竜の宝には、転生術というものが書かれていました」

ナースが盗んだドラゴンの秘術の書…

中身見た後、ちゃんと宝物の中に戻してたんだな


「私はその秘術を長い時間をかけて勉強しました

 両親の第二子として生まれ直せるように」

「え…じゃあお前がここにいるってことは…自殺したのかよ?!」

「いいえ、おばあちゃんになって死ぬまで、国のために頑張りましたよ」

「ということは…プリンセスって、実はおばあちゃん…?」

「そっ、そーですけど…!はっきり言わないでください~」

これが母性ロリな秘密かぁ


「ナースは研究する時間が足りなかったようですが

 違う世界に生まれなおすなら、時間軸を意図的にずらすこともできます」

ネームレスは時間がずれて転生したけど、それを意図的にできるって事か…

さすがプリンセス…頑張ればすべてのスキルを使える主人公……


「…それ、最後の竜も生まれ変わってるんじゃありません?」

「うん…私たちも慌てて竜を探し出して

 記憶を取り戻す前に封印を施したから、大丈夫だよ」

そんなことできるのか…


「流石に、ナースがこっちの世界に転生してるとは、思わなかったけど…」

それはまあ…そうだよねぇ


「もっと早くプリンセスが見つかってたらなぁ

 …あいつ倒すのもっと楽だったんじゃね?」

「老衰と転生でスキルはほぼ無くなってたし

 お手伝いも無理だったんじゃないかな…」

老衰…プリンセスめっちゃお年召してるじゃん…

あ、でも、転生後は実際の肉体に精神が引っ張られる、なんて麗ちゃんが言ってたなぁ

プリンセスはどうなんだろう?

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