第42話 転校!ちびっこプリンセス!
―――それは、運命の再会だった
さらさらの黒髪
青と白と茶色の、学校指定の制服
整っていながらも、まだ少し幼い顔
そして、九歳ほどに見える小さな身体
彼女を見たあたしは、電撃が走ったようなショックを受けた
…プ、プリサガの……プリンセスだあああああ!
「では、転校生さん。自己紹介をどうぞぉ」
え、なに、どういうこと?!
ナースがこっちに連れてきたのって
配下の四天王とドラゴンだけだったんじゃ…?!
何で転校生としてやってきちゃってるの?!
しかもなんかちっちゃいし?!
隣の席の麗ちゃんもあっけにとられて
こっち見たりあっち見たりを交互に繰り返してる
「双葉姫子(ふたばひめこ)です。両親の都合でこちらに転校してきました
至らない点もあると思いますが、どうぞよろしくお願いします」
パチパチパチパチ
「おお…普通だ……」
「すごい…普通だわ……」
転校生の普通の挨拶に、みんな感心すると共に、拍手をする
「あ、あれ?みなさん押しかけないんですの?!
わたくしの時は、かわいいかわいいって揉みくちゃにされましたけど?!」
「いや、なんかそういう雰囲気の子じゃないし…」
「?!」
あーうん、なんとなくわかるよ
礼儀正しくこられると、ちょっといじりにくいというか…
「え…じゃ、じゃああれは、このクラスの流儀という訳ではなく
わたくしのせい…?」
麗ちゃんはかわいいからしょうがない
「あれ?れーちゃんの時は、そんな歓迎してたんですか?」
推定プリンセスの彼女が、クラスメイト達の会話に反応する
「知り合いなの?」
「はい…向こうでは、せっかく友達になれると思ったのに
お別れになってしまって…」
「…そうでしたわね」
うーん…やっぱプリンセスだわこの子!
「みなさん……私にもしてくれて、いいんですよ?」
両手を広げ、全てを受け入れるポーズをする彼女
麗ちゃんと同じくらいの身長なのに…なぜか母性が溢れている気がする
「え…いいの?!」
「じゃあ、お言葉に甘えて…」
「あ、次はわたしねー」
「新作あめちゃんを渡す時が来たようやな…!」
遠慮はしていたが、なんだかんだでみんな、小さい子はなでなでしたいらしい
「おおう、きちんとみんな整列して、順番に頭撫でてる…なんだこの光景」
「あの、美遊様…感心しつつわたくしの頭を撫でるのやめてもらえます?!」
と、ごく自然に麗ちゃんの頭を撫でていると…
「美遊、1分経ったら交代して~」
いつの間にやらこっちにも行列ができている
「何でこっちにも並んでるんですの?!」
「まあまあ、新作あめちゃんやるから」
「佐藤さん素早いですわね?!」
そうやって、新人握手会ならぬ、新人なでなで会はしばらく続き…
やっぱり、次の英語の先生に怒られるのだった
その後は、特に問題もなく放課後まで進む
勉強ができないことも無いし、体育もそこそこできる
プリンセスは基本、礼儀正しいいい子なので、問題が起こることもない
…しかし、彼女の素性は確かめておかねばならないだろう
「えーと、姫子様?」
「ひめちゃんでいいよ~」
プリンセスはレイシィにだけは、敬語ではなく友達のように話す
プリサガが、ほぼ美男子だらけってのもあるんだろうけど
同年代の女の子が全然出てこないんだこれが
「同窓会をやろうと思うのですが、来ていただけませんか?」
そういう訳で、急遽あたしん家でプリサガメンバー同窓会を開催!
「あ、お部屋綺麗に片付いてるんですね
意外…と言っては失礼かもですが、きちんとしてらっしゃるんですね」
「わたくしがお掃除してるから当然ですわ!」
「あ、あはは…そういう事でしたか」
「麗ちゃんいつもありがとうね」
最近は、見かねた麗ちゃんが掃除してくれるのだ
『わたくし、綺麗なお部屋で過ごしたいのですわ!』って
「…いや、マジでプリンセスじゃねえか…どうなってんだこりゃ」
同窓会の黒一点、マウンテンさんもお呼びしております
「それを今から聞こうかと」
「あ、マウンテンさんもこちらに?」
「おう…まあ、色々あってな」
「…ご本人で間違いないです?」
「本人だよ!何でみんな、俺が普通に喋ると疑うんだよ?!」
それはもうしょうがないと思う
みんなで丸い机を囲み、その上に
買ってきた袋菓子とグレープジュースを並べて乾杯
そうやって、転生者たちの宴がはじまるのだった
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