第38話 大勝利!愛と希望のおねロリ無双!

「ははは…どうしたどうした!

 もう耳障りな歌を歌う余裕も、無くなったみたいだな!」

「『先制反撃』!」

「ちっ!」


グギャアアアアアアア!!


これでドラゴンは、ナースの乗ってる奴を除いて全て倒した…!


「くそ…粘りやがる…!もはや、障壁の使える俺だけか…!」

ここまで来たら、あと少し…!


「ち…ここは撤退だ!

 これだけ疲労させれば、もう追ってこれんだろう…!

 何か奥の手があったらまずい…」

実際、ここまで疲れさせられたら、追うのは困難だ

ここで決着をつけないと非常にまずい


「今度はドラゴンを百体くらい連れてきて、数で押しつぶしてやる!」

…残念だけど、そうはいかない!


シャアアアアアアアアアアアアアアア!


「お、おい、どうして動かない!引き上げるんだ!」

ナースの乗るドラゴンは猛り、この場から離れようとしない


「『突撃行進曲(アサルトマーチ)』

 …さっき歌っていた歌に、スキルを乗せてたんだよ」

「な?!ど、どういうことだ…

 そのスキルは、バフが乗るだけのスキル…!」

普通は、弱バフの木っ端スキルだと思うだろうね…!

あたしも真剣に攻略開始するまでは、気づかなかった…


「『突撃行進曲』は攻撃力の上がるスキルだけど

 逃げられなくなるというデメリットがある」

「な、なんだと…

 それじゃあ、俺たちにバフをかけたまま、攻撃を食らっていたのか…?!

 ここから逃がさないために…」

「バフ属性のスキルは必ずかかる…デメリットがあろうとも!

 魔法じゃなくスキルだから、解呪もされない!」

ちなみに、二ターン(四分)以上の曲を

一曲歌い終わるのが発動条件で、歌う曲は何でもいい


「お、おのれええええええええええええ!

 訳の分からん歌でコケにしてきたと思ったら

 それが俺を逃がさないためのスキル入りだっただと?!」

「そういうこと~…あ、ドラゴンから降りても無駄だよ

 逃げようとすると、足が動かなくなるからね」

まあ、ドラゴン無しなら、逃げても捕まえられるだろうけど


「お前は、絶対に逃がさないよ」


「こ…こうなったら、ドラゴンの突撃を繰り返し

 じわじわとなぶり殺しにしてくれるわ!」

「…さっき自分で言ってたじゃない?

 何か奥の手があったら怖い、って」

「俺の障壁は絶対に破れない!

 竜殺しの属性を持つアイテムは、この世界に存在しない!」

よし、いい感じに怒ってる

そうだ…もっと冷静さを失え…!


「美遊様!やりますわ!」

条件はそろった…今こそ必殺の時!


『ジャアクナルチカラヨシッコクノヤミヨソハココロノシンエンヲミタスモノ』


「魔の囁き…

 確かにそれは必殺の術だが、動くものに憑りつかせるのは不可能!

 ドラゴンに乗ってる俺には通じない!」

確かに、移動してるものにはかからない…だけど!


「『竜騎突撃(ドラゴンチャージ)』!」

「うあっ!」

チャージ攻撃をくらって、ダメージをうけるあたし

…別の魔法を詠唱中だと、瞬間障壁は出せない…隙を狙ってきた…!


『影に潜め!魔の囁き(デビルズウィスパー)!』

その間に麗ちゃんの詠唱が完了し、影が生まれる


シュルルルル……


そして、その催眠魔法で生み出した影は…

ナースに向かわず、あたしの中に入ってくる


「馬鹿め、何かミスったな!

 仲間に魔の囁きをかけるなど…!デバフになるだけだ!」

魔の囁きを受けた相手は、操れる代わりにデバフがかかり、本来の動きより弱くなる

操るつもりの無い仲間にかけても、単にデバフがかかっただけになる

普通ならそうなんだけど…

今は、この気持ち悪いデバフが、必要だったんだ…!


『暴れ狂う風よ 空に満ちる不可視の存在よ

 全てをなぎ倒し、存在を示せ!』

あたしは、デバフがかかったこと確信し、Lv1風魔法を唱えた


「な…魔法?!こいつ魔法が使えたのか…!」

驚くのはここからだ…!


『攻撃の99%をカットする敵のバリアを突破するアイテムが、バグで手に入らないから

 攻撃力をバグらせて99%カットでもダメージを押し通す…』


あたしの魔力は15

魔の囁きのデバフは(全ステータス-10)

風の矢の攻撃力は(魔力-10)で計算

よって、攻撃力は-5…ではなく

数値がバグって、攻撃力は65530になる!


あたしの手の上の風の矢は、どんどん巨大になって、雲に届く高さになり…


「あ…ああ……

 な、なんだその天を衝く『風の矢(ウインドアロー)』は…

 こんな…こんな魔法も知らないはずの下等人種が…

 あ、ありえない……アリエナイイイイイイイイイイイイイイイイ!」

発狂するナース

力で全てを押し通してきた男は、だからこそ全てを理解している

この超巨大な力には、勝てないと


「お前が下等と言ったみんなの力…!」

「ひ、ひいいっ!」

ナースは必死に逃げようとしている

しかし、ドラゴンは動かないし、ナースの足も動かない!


「これが……!

 麗ちゃんとあたしとプリサガwiki攻略班の力だああああああああああああああ!」


全力で叫び、全てを込めた風の矢を、悪の魔術師に叩きつける!


「ば、ばかな…ばかなああああああああああああああああああああああ?!」

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