第26話 見物!生徒会長のおうち

この前のおわびに、駅前のシュークリームを持って

イケメン会長の家にいくあたしたち

…ちなみに、前回お店行ったときにお土産用に買ったシュークリームは

麗ちゃんに預けておいたら、家で食べてしまったそうで…

もう一度買いなおして、直通で向かっております、はい


この曲がり角を曲がれば、そろそろ家が見えてくるはずなんだけど…


「…え」


あたしと麗ちゃんの目の前に、大きな庭付きの家が建っていた

庭に石の灯篭とか池とかある…金持ちしか住めないやつだコレ

麗ちゃんの「卒業生に政治家の方々も多いですわよ?」という言葉を思い出す

イケメンめ…ホントに欠点無いな……


「ど、どーしよ…こんなシュークリームじゃ失礼かな…」

「大丈夫ですわよ。こういうのは値段ではなく、気持ちですわ」

「おお、さすが令嬢…」

「えっへんですわ」

こういう場所では、麗ちゃんが頼もしく見える


「あ、でも、さすがに胸元は隠しておいた方がいいですわよ」

「えー、これ閉めちゃうと黒ギャルスタイルじゃなくなっちゃう…」

「……」

「わ、わかったよー…これでいい?」

仕方なしに、ちゃんと制服を着る

何ヵ月ぶりかな…気崩さないで着るの


「よろしいですわ」

満足げな麗ちゃん

やはり元悪役令嬢、ちょっとでも上に立つのは嬉しいらしい


「さて…呼び出しはどうやって…」

「美遊様、目の前にインターホンありますわよ」

なんか呼び鈴とか使うのかと思ったら、普通だった


ピンポーン


『あらあらあらあら、どちらさまでしょう?』

「すみません…あの、あたしたち、高志くんと同じ学校の…」

…と、そこまで言ったところで

バタン、と古めかしく高級そうな玄関の扉が開く


「あらあらあらあらまあまあまあまあ」

細目で短髪、青い着物の女性が出てきた

見た目の年齢から判断すると…お母さんかな?


「あらあらあらあら、高志ちゃんに彼女がいたなんて…」

「違います」

「あらあらあらあら、違ったの?ごめんなさいね」

あ、言い忘れてたけど、イケメン会長の本名は池波高志


「この前高志様のお帰りが遅かったのは

 実はわたくしがぶつかってしまったせいでして…」

「その、それで今日はおわびに、といいますか…」

買ってきたシュークリームの箱を見せる


「あらあらあらあら、てっきり高志ちゃんに恋人ができて

 密会してて遅くなったのかと思ったわ」

ありそうな話だなぁ…イケメンだし


「まあまあまあまあ、折角だし、上がっていって」

「え、あ、いや…は、はい」

「お邪魔しますわ」

心地よい木の匂いがする木造家屋に入る

こういう床とかいくらすんだろ…とか野暮なことを考えながら奥へ


「まあまあまあまあ、今、高志ちゃん呼んでくるからね

 ここでゆっくりしていってね」

「は、はい…」

通された部屋は、ちょっと洋風の落ち着いた雰囲気の場所だった

暖炉とかあるよ…いいなー…あれでマシュマロとか焼いてみたい

あたしたちはソファーに腰かけて、イケメンを待つことになった


「いやまあ、なんか…すごいお母さんだったね。音圧が高いというか何というか…」

「ああいうタイプ、上流階級には結構いますわよ」

「そうなの?!」

恐ろしや上流階級


と、まあ、上流階級豆知識を麗ちゃんから聞いてるうちに、イケメン登場


「やあ、お待たせしたね」

相変わらずの爽やかさ


「まさか家に来てくれるなんてね」

学校でもいいかなーと思ったけど、なんか変な噂立つとイケメンに悪いし…


「お母さん、なんというか、すごい人だよね」

「あ、う、うん…」

彼も母親については、思うところがあるようだ

悪い人じゃないけどね


「お詫びと言ってはなんですけど、シュークリームを買ってきたのですわ」

「え、ほんとに?!」

ぱっ、とイケメンの顔が輝く


「家ではなかなか生クリーム食べれないんだ…ありがとう、嬉しいよ」

「おお、意外に高評価」

「そうそう、家がお金持ちだから、高級なものでないと口に合わない

 …なんてことは無いですわ」

「なるほどぉ」

安物を出したら、『このシューを作ったのは誰だぁ!』と

ちゃぶ台ひっくり返すイメージだったよ

…マンガの見過ぎかな?

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