第19話 変化!制服美少女麗ちゃん

「ついに制服が届きましたわ!」

麗ちゃんが黒板の前に立ち、クラスのみんなに高らかに宣言する

着ているのは、みんなと同じブレザーだけど

特注品という事もあり、本人の資質も相まって

どことなく高級そうな感じに見える


「麗ちゃん、いい、いいよ!」

「ふふふ、そうでしょうそうでしょう。なんでも着こなすスーパー令嬢ですもの」

…高級なんだか安っぽいんだかわからないなぁ、スーパー令嬢


「これでようやく、わたくしもクラスの一員として…」

「ああ、めでたいな!」

男子のだれかがおめでとうを言った

麗ちゃんが二度目の青春を送れる事、あたしも嬉しく思う


「で、でも、今までだってクラスの一員だったよ!

 服一着無くたって、私たちは仲間だよ!」

「あ、写真一枚いいかなぁ?できればツーショットで」

「ホンマめでたいなー。めでたいから、あめちゃんあげるわ」

「ふふ、立派な制服姿だな…ボクも鼻が高いよ」

「だから何でお前そんな偉そうなの」

「ダークファンクラブ会長としても嬉しい限りだよー」

「うう、拙者のダークファンクラブが、乗っ取られてしまったでござる…」

「君たちも、裏で何やってるの?」

クラスは相変わらず、やいのやいの大騒ぎ

ちびっこ令嬢はみんなに愛されてる


「…ホームルームはじめてもいいかしらー?」

担任の先生をつい放置してしまう程に



それから二時間ほど過ぎて、体育の時間


「体操着も手に入れましたわ!」

…太もも!


「ちょ、ちょっと美遊様…視線が……」

「おおっと」

ああ、いいわぁ~…麗ちゃんの体操着

特にこの、こう…短パンと太ももの間くらいの魅惑の曲線が…ねえ?


「ところで、大丈夫…?

 今までは体操着も持ってないって事で

 授業でも大きな動きのやつはパスしてたじゃん」

「大丈夫ですわ。今のわたくしにはスキルがありますもの」

スキルは3歳差を埋めてくれるか…どうなのか…

体育レベル1だしなぁ…

今日は跳び箱の授業だけど、あたしゃ心配だよ


「8段だけど、麗ちゃんいけるー?」

佐藤さんたちが跳び箱の段数を調節してくれている


「問題ありませんわー!」

跳び箱だから、大けがはしない…はずだよね…


麗ちゃんが、跳び箱に向かって走り出す

踏切台でバウンド…跳び箱に手をつき……


「じゃーんぷ!ですわ!」

飛べたっ!

よかったぁ…中学一年の高さ、いけるっぽい


「ふふふ、これぞわたくしの……」


びたーん!


あ、着地に失敗して尻もちついた


「あ、あいたたた…」

「だ、大丈夫?」

「ちょっと油断しましたわ…でも、問題ないですわ」

「ううーん、惜しいけど、あめちゃんあげられへんなぁ…」

「厳しいですわ…」

佐藤さんも失敗にはあめちゃんくれないのだった


「でも、このお尻の痛み…むしろちょっと気持ちいいような…」

あ、やばい…あたしのおしりぺんぺんのせいで

変な性癖が目覚めかけてる…


「美遊様ーっ」

麗ちゃんがこっちに戻ってきた


「まあ、なんとか大丈夫だったね」

「ちょ、ちょっと油断しただけで、次は楽勝ですわ!」

「うんうん」

これならまあ、体育の授業も普通くらいにはいけそうだ


「しかしまあ、今日は色んなお着替え麗ちゃん見れて、あたし満足だよ~」

これから学校でいつでも見れるじゃん、とか言ってはいけない

今まで見れなかったものが見れた、ってのが大切なのだ


「かわいい麗ちゃんのお着替え写真撮りたいなー、撮らせてくれない?」

ちょーっと無茶な要求してみる


「え、えーと……」

麗ちゃんは人差し指を重ねて、少しもじもじした後


「え、駅前に美味しいシュークリーム屋さん……

 奢っていただけるのでしたら、いいですわよ?」

「え、いいの?!」

OKを出してくれた


「じゃ、じゃあうちで写真撮らせて!衣装いっぱいあるんじゃん!」

「ふぇ?」



麗ちゃんをあたしの家にご招待

おうちでコスプレ大会開催だー!

タンスから出してきた、ネコパジャマに魔法少女、セーラー服にスク水に…


「な、何でこんな衣装がありますの…?」

急に色々出てきて戸惑う麗ちゃん


「昔、麗ちゃんくらいの時に、スマホ買ってもらって

 色んな服で自撮りをいっぱいしたんだよね」

あの頃は若かった…

今ではオタクに優しい黒ギャルスタイル一択になったけど


「SNSで見てもらおうと思ったんだけど

 いざとなったら勇気が出なくてやめちゃった」

あの時勇気が出ていたら、レイヤーの道も開けていたのではなかろうか


「…ホントですのぉ?」

「ほ、ホントだよ!」

麗ちゃんが疑わしい目でこちらを見ている

い、いや、さすがに幼女の着せ替えを楽しみたくて

これらを揃えた訳ではないですよ?!

…今、やろうとしてる事からは、積極的に目を背けるけど


「疑わしいですわね…証拠を見せてもらえますの?」

「あ、それが狙いか!」

「ふふふーですわ♪」

「しょ、しょうがないにゃあ…いいよ」

あたしの青春のメモリーが見られてしまう…

い、いや、しかしこれも麗ちゃんのお着替えのため…!

あたしは昔のスマホを引っ張り出し…

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