第13話 誘惑!ステータスウインドウ!

ゲームを終えて紅茶を飲んで、一段落したところで


「美遊様、わたくしと…イケナイ遊び、しませんか?」

「え…ええ?!」

麗ちゃんが耳元で囁いてきた


「仲のいい者同士が行う貴族の間の遊びですけれど、わたくし美遊様としたいのですわ」

「い、イケナイ遊び…?!」

な、なに、何なの?!

えっちなやつ?!えっちなやつなの?!


「だ、ダメでしょうか…?」

「わ、わかった…いいよ」

たぶんえっちなやつじゃないと思うけど、も、もしかしたら…

くそう、こんな思わせぶりな態度…麗ちゃんは悪い令嬢だなぁ!


「ではまず、こうやって横に並んで、お互いの片手を握って…」

「うん」

やばい…緊張してきた……


「美遊様とわたくしが、お互いのステータスウインドウを見せ合うという…」

「ちょ、ちょっと待って?!」

それは予想してなかったというか、できる訳がないー!


「どうしました?」

「この世界の人間は、ステータスウインドウなんて出せないんだけど?!」

「…ええええ?!

 で、では就職の時など、どうやってスキル所持を証明するんですの?!」

「試験受けて証明書もらうんだよ?!」

「めんどくさいんですのね現代人!」

「それはあたしもそう思う!」

ウインドウ出てくれるなら、これ以上ない証明だよね!


「えっと…ですわね

 特別な時にしか見せない大事なものを見せ合う事で

 お互いを大切に思ってる証明にするのですわ」

「な、なるほど…異文化だね……」

こんな異文化交流があるとは


「ウインドウはこうやって、指に魔力を込めて自分の胸を3回つつけば出てきますわ」

「…あ、ホントだ、麗ちゃんの目の前に出てきた!」



〇来知 麗 

女性(9)


・能力

体力:20

筋力:15

魔力:38 

守備:17

精神:32

技術:21

速さ:16 

SP:8


・特筆スキル

催眠魔法(禁忌):15

国語:1

社会:1

数学:1

理科:1

英語:1

体育:1


・装備

なし



「魔力凄いじゃん…」

「ふふふ、もっと褒めるといいですわー」

魔力とスキルレベルをひたすら上げて

催眠魔法を成功させて、催眠したやつに力仕事はまかせよう

そんなビルドなのがよく伝わる


「しかし、転生したときにダウンサイジングされてるようで

 他のスキルが無くなってますわね」

…あれ?この催眠魔法以外のスキルって…


「美遊様ー、わたくしのを見せたのだから、美遊様のも見せてくださいましー」

あたしの片手を抱きかかえて、ゆさゆさと揺らしてくる


「そう言われても…魔力とか出せないし……」

「仕方ありませんわね」

麗ちゃんが目をつぶり集中すると、その右手に青くぼんやりした輝きが

そして、その手であたしの人差し指を包み込む

手を離すと、人差し指に青い輝きが移動していた


「美遊様の指先にわたくしの魔力を注ぎましたわ。10分ぐらいは持つのではなくて?」

「いやー、でもさすがにウインドウなんて出る訳…」

半信半疑で、自分の胸をつついてみる


「出たぁー?!」

え、うそ、ホントに?!



〇夢渡 美遊 

女性(12)


・能力

体力:60

筋力:23

魔力:15 

守備:25

精神:28

技術:29

速さ:22 

SP:35


・特筆スキル

ゲーム知識:21

スキル上昇率UP(現代):1


・装備

なし



「え…え、どういうことなの?!

 あたしが知らないだけで、実は現代人もゲームのような世界に住んでるの?!」

「ゲーム知識のレベルが、わたくしの催眠魔法より高いとかありえないのですけれど?!

 どれだけゲーム漬けの人生を送ってらしたの?!」

「や、やめてー!みないでー!」

め、めちゃくちゃ恥ずかしい

確かにこれは、仲のいい者同士じゃないとできないわ…

通信簿見せ合う感じに近い、かな?


「…あれ?このスキルポイントってやつ使えば、スキル習得できるの?」

ゲームだと、キャンプ地で使って、剣技を伸ばしたりできたけど


「落ち着いた場所でなら、どこでもできますわよ」

「あ、あたし攻撃魔法習得したい!」

炎の矢とか出せる!ほ・の・お・の・やー!


「その魔力で魔法習得は、やめといた方がいいですわよ…」

「う、うぐぐ…」

まあ、魔力なんて現代人には評価されない項目だから、低くてよかったのかもしれない


「でも、なんかスキルポイントいっぱい余ってるから、ちょっとぐらい…」

麗ちゃんの魔力を使ってるからなのか

スキル一覧に現代とプリサガの両方のスキルが入ってる

ゲーム大好きオタクに優しい黒ギャルとしては、見てるだけでよだれがでてきそうだよ


「ん、なにこのスキル?」

一見しただけでは何かわからない謎のスキル

指を近づけてみると、スキルの説明文が出てきた

…ちょっと、便利過ぎじゃない?!


『スキル上昇率UP(現代):

 鍛錬でスキルを習得、上昇する時、スキルポイントを自動で1消費する

 上昇率を1.5倍にする』


「ゲームだと、スキルポイントでしかスキルは伸ばせなかったけど…鍛錬って何ぞや」

「長期間の鍛錬をすれば、スキルポイント無しでスキルは身に付きますわ」

「そうなの?!」

ゲームに出てこない設定来た!


「ということは…」

『プリサガ人:スキルレベル=鍛錬のスキル上昇+スキルポイントでのスキル上昇

 現代人  :スキルレベル=鍛錬のスキル上昇×1.5』


「現代人はステータスウインドウを開けないから、スキルポイントが自分から使えない」

「でも代わりに、スキルの伸び率を自動で高くしてくれてるのですわね」

「これは下手にいじらない方がよさそうだね…」

明らかにバランス調整されてる

誰がこんな調整やってるの…神様とかかな?

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