第12話 見学!プリサガ最終決戦

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脇腹から流れる血

頭が回らなくなっていく


…もう、限界ですわね


父の仇討も領民の平和も、何一つ守れないまま、ここで…


「れーちゃん!」

憎たらしくも懐かしい声が聞こえた

わたくしの計画を邪魔してきたプリンセス


「ああ…来たんですのね」

「よかったわ…これで少なくとも、民は救われる…」

プリンセスの率いる一団なら

わたくしの領地を襲ってきたモンスターの群れも、撃退できるでしょう

本来ならば、それはわたくしがやらなければいけなかったこと

父の仇を討つためと言い、宮廷闘争にかまけて

自らの領地の防衛を、疎かにしていたツケ…ですわね


「しっかり…しっかりして!」

「あなたに託しますわ…民を守り、諸悪の根源…宮廷魔術師を討つことを」

血に濡れた手で、プリンセスの手を握る

こんな手で、嫌がられたりしないかしら…と、どうでもいい事が頭をよぎる


「やだよぉ…せっかく、せっかく友達になれると思ったのに…」

「どこまでも甘ちゃんですわね…」

不器用で鈍感で、でも真っ直ぐで、いつもみんなのために頑張ってて

そんなプリンセスに、みんながついていって

わたくしも本当は、こんな催眠魔法なんか使わずに……


「でも…そんなあなたが…嫌いでは…なかった……わ」

「そんな………いやああああああああああああああ!」

悪をもって巨悪を討とうとした、貴族令嬢レイシィ・ライチェス

その最後は、友の腕の中だった


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「ほ、ほああああああああああああああ!」

顔を押さえ、真っ赤になって転がる貴族令嬢様

画面の中ではカッコよかったんだけど、今ではこんな感じです


「な、なんですのこれ!なんですのこれ!

 わたくしの心情が、なぜこんなにも赤裸々に書かれてますの!?」

そういや不思議だ

実際にこの世界があって、その歴史をゲームにしたと仮定して

彼ら彼女ら個人の心情まで、誰が調べたんだろう?


「ただの小説のようなものだと思ってましたのに…!」

「え、えーと、事実とは違ってるのかな…?」

「合ってますわよ!合ってるから余計に恥ずかしいのであって…んもおおおおおおおお!」

穴あきクッションをバシバシ壁にたたきつけながら悶える麗ちゃん

めちゃくちゃかわいい

そんな事言ったら絶対怒るだろうけど


「と、とりあえず続きやるね」

そして、シナリオは進んでいき……



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「…いや、それは違うな。プリンセスよ」

「…?!」

そこに駆けつける、かつて主人公が救った仲間たち


「「「私達にしかできないなら、それは私達がやることだ!」」」

皆、それぞれに武器を持ち、構える。

邪悪なる竜を倒し、自分達の姫を救うために。


「…みんな!どうして…!?」

「プリンセス一人が生贄になって生き永らえるなど、愚の極み」

「もう終わりにしよう」

「あいつを倒して帰ろう、みんなで過ごしたあの学び舎に…!」


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「はぅぅぅぅぅぅぅ」

麗ちゃんが泣いている

うんうん、やはりここは本人たちにとっても、いいシーンだよね…!


「よかったですわ…みなさん協力して、本当の諸悪の根源を倒したのですね…」

「うん、うん」

「わたくしはなぜあそこにいないのでしょう…悔しいですわ……」

「それはあたしも思ったよ」

上手くいかないからこそ、人生は美しい…とか誰かが言ってた気がするけど

それは周りから見た意見であって

当人たちはやっぱり、完全ハッピーエンドにしたいんだよね


「しかし、このちょっと前の…わたくしの仇の魔導士を倒したところ…」

「気になる?」


悪の宮廷魔導士、最後のセリフ

『私はいつか必ず戻ってくる…そしてお前たちを皆殺しにする』

『それまでせいぜい、つかの間の平和を楽しんでおくんだな…!』


「続編を作るための伏線…と思ったんだけど

 結局続編作られてないんだよね」

「何事も無ければよいのですけど…」

「時間が空いた時にでも、作った人たちを探してみようか」

「…そうですわね。その方たちなら、二つの世界の秘密を知っているやも…」

…もしかしたら、ゲームが先で、ゲームを元に新しい世界が作られた…

なんて可能性もあるけど、これは…言わない方がいいかな


「あと、わたくしの描写がなぜあんなに正確なのか、問い詰める必要がありますわね!」

「そこ?!」

「プライバシーの侵害ですわ!」

ま、まあ、確かに麗ちゃんとしては、許しがたい事なんだろうけども


「でも、あたしは麗ちゃんの事が知れて嬉しかったけどね」

麗ちゃんをぎゅーっと抱きしめる

なんだかんだで麗ちゃんと仲良くなれたのは、このゲームのおかげなのだ


「そ、そんなこと…うーっ…」

抱きしめた麗ちゃんは、真っ赤になってもじもじしている

前とちょっと反応が違う気がするなぁ…

でも、こっちもかわいい♪

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