第3話 買収?!生徒会令嬢

それからしばらくして、へろへろになりながら廊下を歩く二人


「つ、疲れましたわ…」

「当たり前だよね」

「わたくしはなぜ、あんなにハイテンションで、お皿取ってたのでしょう…」

「それはあたしが聞きたいよ…」

取ってしまったら食わないわけにもいかず

8皿分をあたしのお腹に入れたから、もうパンパンだ


「と、特別に肩車させてあげても、よろしくてよ」

「疲れきってる?!…もー、しょうがないにゃあ」

これは意外な展開

早速、麗ちゃんのすべすべ太ももを堪能しつつ、彼女を肩の上に乗せる


「…意外と悪くないですわね。肩車されるの」

見ている風景が変わったおかげか、ちょっと元気を取り戻した感じの声


「よーし、じゃあセバスチャン。次を案内してくださいまし♪」

「はーい、お嬢様のおおせのままにー」




「ここが生徒会室ね」

他の教室は引き戸なのだが、ここはちょっと豪華なドアになっている


「生徒会室!マンガで読みましたわ!

 見目麗しい男女が、紅茶を飲みながら優雅に過ごす部屋ですわね!」

「そんな昔の少女マンガみたいな…」

「違うんですの?!」

「いや、入ったことないからわかんないけど…

 あ、でも生徒会長はイケメンだね」

何回か話したことあるけど、マジイケメン


「実はわたくし、生徒会に入りたくてこの学校選んだんですわ

 森木学園の生徒会は、権限が大きいと聞きまして」

「へぇぇ~…知らなかった」

特に興味無かったし


「卒業生に政治家の方々も多いですわよ?」

なんというか、麗ちゃん知識偏ってるな…


「生徒会で実績を積み、なんやかんやしてやがては国のトップに立つのですわ!」

「野望でかいな~」

「そ、その時には、美遊様は肩車係として雇ってさしあげてもよろしくてよ」

「なんでまだ肩車やってるの?!そこは専属運転手とかじゃないの?!」

腰にきそうな職業だなぁ

とかなんとか、ドアの前で話していると…


「何やら騒がしいね。どうしたんだい?」

件の生徒会長が、生徒会室から出てきた

恰好は普通の黒髪男子学生

美形でありながら物腰柔らかという、みんなに好かれるタイプである


「お、イケメン生徒会長じゃん!いたんだ」

「そりゃいるよ、放課後だしね」

あたしは麗ちゃんを肩から廊下に降ろし、挨拶をした


「おや?かわいいレディを連れてるね」(なでなで)

「でしょー?」

「だからなんでみんな、頭なでてくるんですの?!」

「お、おっと、これは失礼」

イケメンも思わず麗ちゃんの頭をなでていた

みんななでたくなるよね、やっぱり


「えー…こほん。それはそうと…

 生徒会長さん、ひとつわたくしのお願い、聞いてもらえません?」

「何かな?」

中腰になって、麗ちゃんに視線を合わせながら話を聞くイケメン


「わたくしに生徒会長をお譲りあそばせ!

 そうすれば、生徒会の新時代を築き上げてご覧にいれますわ!」

麗ちゃん、野望を隠そうともしないね?!


「ごめんね、残念だけど小学生は…」

「イケメン…実はこの子転校生なんだ…うちのクラスの」

「……え、うっそ…マジで?」

「生徒会長、言葉言葉」

…イケメン、実は内面チャラ男なのでは…


「お、おっと…譲ることはできないんだけど

 生徒会選挙があるから、その時に出ればいいんじゃないかなー?」

「選挙!いつですの?!」

「2か月後に…」

「遅いですわー!わたくし、一刻も早く紅茶したいのに…!」

パパにおねだりする子供のように、イケメンの制服の袖を伸ばしてくる麗ちゃん

制服だって結構するんだからやめてあげて


「えっと…では、どなたに金を握らせれば、早く開催してくれますの?」

「この子、見た目に反して結構アレだね?!

 だ、ダメだよ、期限は守らないといけないんだから」

「むー」

「まあまあ、次行こうよ」

「今日のところは、これくらいで勘弁してやりますわー!」

あ、今のセリフ、ゲームの令嬢もよく使ってたやつだ

実はプリサガやってるのでは…?

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