第6話 炎の海


「な…なんで…お前達ばっか…」

消防士は暗い表情のままボソボソと呟きだした。ダンはそんなことなど気にせず急いで母を抱えて救急車へと急ぐ。すると、ダダダダダダとガトリングガンのような音が鳴り響いた。何事かと思ったダンは一瞬野次馬の方へと振り返った。

見ると野次馬の何人かが血を流して倒れている。そのまま周囲はパニック状態となり、野次馬の殆どが一斉に散り散りとなってその場から逃げ出した。

「逃がさない…絶対に許さない…」

ダンが声がした方を見ると、さっきの消防士の左腕がガトリングガンのような形に変形していた。その消防士はエンスだったのだ。たまたまエンスの消防士とダンの目が合った。

「まずはお前からだ」

エンスの消防士がダンの方へ向かってくる。

「やめろ!!」

周りの消防士や警察5人がエンスの消防士を取り押さえに行ったもののスパァンという音と共に、一瞬でバラバラの肉の塊と化した。エンスの消防士の右腕はチェーンソーに変形していたのだ。

「早く!君も乗りなさい!!」

呆然とその光景を見ることしかできなかったダンだったが、救急車に乗車している消防士の声で我に帰った。

「そうだ!今は母と一緒にこの場から急いで逃げることだけ考えよう…」

そう思い救急車へ母を抱えた状態のまま走るダン、しかしその時だった。救急車に何かが当たった。それは一瞬で辺りを目が開けないほど真っ白な光へと包み、次に目を開く頃には大きな爆発音とともに、救急車を炎の海へと変貌させた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る