第2.5話 召喚士

異世界にやって来た私に、召喚士という職業を勧めてくれたのも、

ずっと隣にいるソフィアだった。


この国が過去に召喚した異世界の存在は、

初めのうち、剣や弓矢が得意な人ばかりだったらしい。


とても勇敢で、戦いの際は自ら先頭に立ち、

ばったばったと敵を切り捨てていた伝承が残っているけれど、

それって、私が元いた国の武士とか、お侍さんを呼び出してしまったのだろうか。



しかし、私の側の世界も、時代は移り変わっていくわけで、

前回召喚された人は、これまでと違って剣が全く使えず、

当時のこの国の人達も、戸惑ってしまったらしい。


ただ、代わりに魔法の適性があり、

召喚された存在の特徴でもある、豊富な魔力もあったことから、

異世界の知識も駆使しながら、様々な魔法を使って、

最後にはこの国を救ったということだ。



そして、私もまた武器を扱った経験はなく、

騎士団に交じって手解きは受けてみたけれど、

この腕で前衛として魔族と戦うのは、現実的ではないという結論に至った。


そこで、前回召喚された人と同様に、魔法を扱う道が示されたけど、

興味を持って色々と聞いてみたら、その戦い方も一つではなくて、

少し考える時間をもらうことになった。


そんな中、私のお付きの人みたいな立場となったソフィアが、

幅広い知識と、自分でもそれらを扱う力を持っていたので、

たくさん相談に乗ってもらい、最終的に私が選んだのが、召喚士だった。


火や水や土といった精霊と契約し、その力を借りて戦うこの職業は、

戦い方の幅が広く、溜めがあれば強力な一撃だって放てる。

それに・・・単純に私がやってみたい、と思ったのも理由だ。


私の世界の召喚士は、大きな竜や大地の神様みたいなのを呼び出すんだよ、

とソフィアに話してみたら、驚いていた。

もちろん、物語の中の話だとすぐに説明したけれど、

こちらの世界にも興味を持ってくれて、たくさん話したっけ。



・・・国を救うだなんて、柄じゃないけれど、

ソフィアのためにも、私が召喚された役目は、ちゃんとやり遂げよう。

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