実戦

オリビア母さんに連れられて街道に到着した。念のため騎士団からも5人ついてきてくれている。

「さて、最初は誰からする?」

オリビア母さんがいきなり立ち止まると街道沿いの茂みを見ながら聞いてきた。オリビア母さんの目線の先には緑色の人形の生物がいた。サイズ的には140cm前後だと思う。

「はい。私からします。」

大きいな…と思っているとル-シイ姉さんが答えた。

「ストーンバレット」

ルーシイ姉さんの掛け声にあわせて拳大サイズの石がゴブリンに向けて飛んでいった。

「グギャァ!」

ストーンバレットはゴブリンに当たりはしたが倒せるほどの威力ではなかったようで木の棒を振り上げながらこちらに向けて走ってきた。

「ストーンバレット」

ルーシイ姉さんは走ってくるゴブリンの足下にめがけて再びストーンバレットを使った。

「グギャァァ!!」

ゴブリンが悲鳴をあげながら転がった。

「えい!」

ルーシイ姉さんは腰につけていた短剣を抜くと素早く転がったゴブリンの首に刺した。

「ルーシイ、良くできたね。今度はもう少し魔力を込めて威力を上げるようにしようね。

それじゃあ、次を探そうね。」

オリビア母さんはそう言うと歩き出した。


歩くこと5分、再びオリビア母さんが立ち止まって街道沿いの茂みを指差した。

「さっきと違って2匹いるけどルーナ、大丈夫?」

「大丈夫です。」

ルーナ姉さんは自信満々に答えると

「エアカッター」

魔法を行使した。ルーナ姉さんが掛け声からワンテンポ遅れてゴブリンの頭が2つ地面に転がった。さらにそのままゴブリン達の後ろに生えていた木を1本切り倒した。

「うん、ルーナも良くできたね。次からはゴブリンだけを倒せるようにもう少し魔力の込める量を減らそうね。」

「うん。わかったわ。」

ルーナ姉さんは胸を張って答えた。

「それじゃあ、次を探しに行きましょうか!」

再び、オリビア母さんの指示の下移動を開始した。

しばらく歩いているとなんとも言いがたい悪臭が漂ってきた。

「オリビア母さん、これってなんの匂い?」

ルーナ姉さんが手拭いで口元を覆いながら聞いた。

「ゴブリン集落だね?もしかしたらまだ集落にはなってないかも知れないけど、ほっておいていいものではないのは確かよ。さすがに私たちだけでするのは危険だから後で騎士団に任せましょう。」

「オリビア母さん、ぼくも行く。」

「危険よ。ベク。」

「大丈夫!」

オリビア母さんは止めたかったようだけど自信満々に僕が大丈夫と言うとそれをダメだとは言えないらしい。

「分かったわ。まあ、何事も経験ね。」

結局、オリビア母さんがおれてくれた。

「エリックしゃん、それ貸して!」

僕はオリビア母さんが許可をくれたのを確認して僕たちに付いてきている騎士のエリックさんが腰につけている短剣を指差してお願いした。残念ながら、姉さん達はそれぞれ短剣を持っていたのだけれど、僕のは持って歩くのは大変ということでエリックさんがかわりに持っていてくれたのだ。

「え、えっと…」

「いいわよ。」

エリックさんはオリビア母さんの顔を見ながらどうしたら戸惑っていたがオリビア母さんからの許可が出たことでぼくに短剣を渡してくれた。

さて、やっと初の実戦、楽しみだな…。

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