客人の到着

バーナード父さんの宣言から半月ほど経った。相変わらず僕は屋敷の外には出してもらうことはできず、毎日エラに絵本を読んでもらい、週に何度かオリビア母さんが魔法の訓練と言って僕を連れ出して僕に魔法を使わせようとした。おかげで、的のみを破壊できるようになった。オリビア母さんが言うにはあの的は魔法訓練用の的でそう簡単に壊れないはずらしいのだが、毎回壊れている。あと、ここ1週間ほどエラとシーラ姉さん、ルーシイ姉さんについているメラとアイラの3人が僕とシーラ姉さん、ルーシイ姉さんの挨拶の仕方を指導し始めた。だけど、何度やっても合格をもらえるレベルには達していないらしく何度もやり直しをさせられる。

収穫祭に関してはいつの間にか終わていたためよく分からない。だけど、3日ほど前に少し外が騒がしく、その日の夕食が少し豪華だったのでもしかしたらその日だったのかもしれない。


いつも通りお昼を食べてお昼寝をしているとエラにゆさゆさと揺らされ、起こされた。

「ベクトール様、お昼寝からお目覚めのところ申し訳ありませんが、旦那様が今すぐ玄関にお越しくださいとのことです。たった今、ゴードンマルビス様とフランシスマルビス様の前触れが来ました。あと、5分~10分ほどでご到着されるそうです。」

「うん。」

「失礼します。」

返事をして固まっているとエラが素早く僕の来ている服を脱がしてきれいな服に着せ替えられた。そしてそのまま抱っこされたかと思うとあっという間に玄関に連れていかれてしまった。

「おお、ベク来たのね。よかったわ。」

玄関に着くとエラはおろしてくれたが、すぐにオリビア母さんに抱き上げられた。

「ベク、しばらくおとなしくしていてね。」

「あい。」

オリビア母さんの腕の中で返事をするとほほえみ返してとしてくれた。

「みんな、来たよ。」

バーナード父さんの掛け声で門の方を見るとちょうど1台の馬車が入ってきた。

馬車が止まると、そこから2メートル近くある大男とその男性にエスコートされるように小柄な女性が出てきた。

「ようこそお越しくださいました…」

「そんな堅苦しい挨拶は不要だ。それよりもそちらに抱かれている赤子がベクトールだな。ワシがゴードンだ。おぬしのひいじいちゃんになるからよろしく頼むぞ。そういえばおぬし達と会うのも初めてじゃったな。ルーナとルーシイじゃな、よろしく頼むぞ。」

バーナード父さんの言葉を遮って男の人が僕を見てしゃべった。その後、ルーナ姉さんとルーシイ姉さんをそれぞれ見て挨拶をした。

「はい。初めまして、ゴードン様。私がルーナです。」

「私がルーシイです。」

「「おろしくお願いいたします。」」

ルーナ姉さんとルーシイ姉さんが2人でタイミングを合わせてお辞儀をした。僕もした方がいいのかな?と言ってもまだ長文をしゃべるのは難しいから、エラに教えてもらった敬礼をしてみよう。

「ん?ベクトールも挨拶をしてくれているのか。それはうれしいなぁ。」

敬礼しているのを見てニコニコとしながらゴードンひい爺さんは敬礼を返しながら答えてくれた。

「おじい様、そろそろお入りください。後は中でゆっくりとしながらお話いたしましょう。」

バーナード父さんが会話が途切れたところで中へ案内をした。

「そうじゃの。外は冷えるしのぉ。」

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