夕食を食べさせるのは誰でしょう?
体調不良になった翌日、起きるとすでに身体のだるさはなくなっており、完全復活をした。ところが、エラに大事をとってもう少し寝ておいてくださいと言われてしまいそのまま半日寝ることになった。エラはあと1日寝ておいてほしかったみたいなんだけど拒否した。
「ベクトール様、もしもしんどくなったらすぐに教えてくださいね。」
「あい。」
右手を挙げて返事をしておいた。
リビングに行くと大勢の人が僕を見て喜んだ。
「ベクちゃん、元気になったのね。」
フランシスひいばあちゃんが声をかけてきた。
「あい。」
フランシスひいばあちゃんは何かと僕の面倒を見てくれ、僕の体調不良にいち早く気が付いた人でもある。なぜ、エラが気が付くよりも早かったかというとエラが僕のおやつを取りに厨房へ行っている僅か数分の間に体調が悪くなってしまったからである。
「ところで、ベクちゃん今日は何して遊ぶの?」
フランシスひいおばあちゃんは僕の顔を覗き込みながら聞いてきた。
僕は外に行きたかったので窓の外を指さしてみた。
「お外で遊びたいのね。」
「あい。」
バーナード父さんに同じことをしても全く通じなかったのにフランシスひいばあちゃんには一度で伝わった。
「残念だけど、それは無理かな。もうお庭にはいっぱい馬車が止まっていて危ないわ。それよりもお部屋で積み木をして遊びましょうね。」
ところが、伝わるのと実現されるのとは別だったようだ。
結局僕はエラに抱えられお部屋に戻ることになったのであった。
「ベクトール様、フランシス様、ご夕食のお時間にございます。」
積み木やぬいぐるみで遊んでいるとエラが呼びに来た。
「そう、分かったわ。それじゃあ、ベクちゃん、移動しましょうね。」
フランシスひいばあちゃんはそういうと僕を抱え上げそのままいつもと違う部屋へと移動した。
「さあ、ついたわよ。ベクちゃんのお席はどこかしらね。」
「こちらです。」
フランシスひいばあちゃんが聞くとすぐにエラが答えてくれた。
「そう。」
フランシスひいばあちゃんは僕を席において自分の席に行くのかと思ったら、僕の横に座った。
「あの、そこは…私がベクトール様がご飯を食べる補助をする席でフランシス様がお座りになる席ではないのですが…。」
エラが驚きながらも申し訳なさそうに言った。
「いいわよ。どうせあっちに座っても酒飲みに付き合うことになるんだから、それならここでベクちゃんのお世話をしていた方が何倍も楽しいわ。」
フランシスひいばあちゃんは笑顔で言い切ると、本当に僕が食べる補助をし始めた。僕も自分で食べる努力はしているのだけれど、今だ力の調節がうまいことできておらず、何度かに1回は、スプーンですくったものを遠くに飛ばし、スプーンですくっても口に入れる前にほとんどスプーンから落としてしまうため、最終的にいつもエラがすくって食べさせてくれている。ゴードンひいじいちゃんが来てからは、ご飯を人にかけてはいけないからという理由で最初から最後までエラが食べさせてくれていた。だから、フランシスひいばあちゃんが食べさしてくれることに驚きはしているが、どちらかというと食べさせてくれさえすれば横に座るのは誰でもいいというのが僕の考えである。「はい、ベクちゃんあーんして。」
というわけで、エラの困った顔を見ながらも気にせずに食べさせてもらっているところである。
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