兄は王都の学園に行くそうです。

体調が回復してから数日がたち、親戚たちが皆帰っていく日になった。どうやらこれから3日ほどかけて順番に帰っていくそうである。

僕からすれば家に人がいつもよりも多くいるだけだったけど、他の人たちにとってはそうでもなかったようである。

「それじゃあ、アルミン。また春に王都でね。」

「はい。バ-ジル伯父さん。その時はよろしくお願いします。」

バーナード父さんの兄であるバージル伯父さんが帰っていくところに遭遇した。

お見送りに関しては早朝に出ていく人が多いので僕はしなくてもいいと言われていたのでそのまま無視して食堂に行こうと思ったんだけど、少し気になることが聞こえてきたので立ち止まった。

「ベクトール様、どうかしましたか?」

右手を握ってくれていたエラが聞いてきた。

「うん。」

「あ、ベク、どうしたの?」

固まっていたことに気が付いたアルミン兄さんが声をかけてきた。

「アルにいしゃん、ないないしゅる?」

「うん?しないよ。」

「いってちゃよ」

「ああ、そうだね。アルは春には王都の学園に入学するから、冬の終わりごろにバイバイするね。でも今すぐじゃないよ。」

バーナード父さんが僕の言いたいことを察したようですぐに言ってきた。

「そうだよ。まだ、冬が始まってもいないからまだまだ先のことだよ。」

アルミン兄さんもバーナード父さんの発言を聞いて僕が何を言いたかったのかを理解したようですぐに答えてくれた。

「だから、泣かないで!」

アルミン兄さんがに言われて顔を手で拭うと涙が出ていた。いつの間にか泣いていたようだ。

「ベクトール様、少し失礼しますね。」

エラがそういうと手に持っていた手拭いで僕の顔を拭いてくれた。

「ふん。いちゃい。」

「それは、申し訳ありません。」

エラはそう言いながら僕を抱き上げた。

あれ、よく考えたら何かあるたびに僕はエラに抱っこされている気がする。…なんでだろう?

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