契約

魔法の実験を終えてから数日が経過した。空間魔法を使えば瞬間移動が可能になったことにより僕の行動範囲は何倍にも広がった。ただし、ルーラ村や畑のある方向にはあまり広げていない。代わりに反対方向にある森に向けて広げている。


「ここの水はとてもきれいで底が見えていたはずなんだけどな?今は真っ赤で見えない!これは真ん中のあれが原因だよね?」

いつものように山の中を散歩しながら魔法の練習として家(お昼寝用の小屋)を建てる場所を探しながら歩いていると大きな鳥が真っ赤な池の真ん中に落ちていた。

「瀕死の獣は予期せぬ反撃をしてきて怖いと誰かに言われた気がする。ここはあれが生きているのかを確認するとしようかな。」

生存確認方法として手っ取り早い方法として落ちていた石を投げてててみた。

「グルル!」

こちらを射殺しそうな目で睨みながら、小さい声で唸った。

「生きてた!」

回復魔法を使えば多分治療できるけど、元気になって襲われたら嫌だしな…。

そうだ、使役術の練習をかねて使役術を使いながら治療をしよう!使役術は今まで一度も使ったことがなかったけれど多分何とかなるだろう!

「使役術!」

「グルルルル!」

おかしいな、魔力が減ったから魔法は発動しているはずなんだけれどまったく効果がないようにしか見えない。もしかして、もっと魔力を込めないといけないのかな?それとも使役術は効果がないのかな?

「はっ!」

魔力を倍以上込めたのに全く効果がないようだ!

「どうしたものかな?そういえば、魔法によっては使う属性は違うけど同じ効果を生み出せるものがあったなぁ。そっか、使役魔法と同じ効果を示しそうな属性の魔法を使えばいいのか!」

と言ったもの使役の僕が使える魔法は火、水、風、土、無の基礎5属性と光、闇、聖の特殊3属性なんだよなぁ。この中で使役術の代わりに使えそうなものは……闇かな?よし、とりあえず試してみよう。ダメだったら回復させるのは諦めて、素材として持ち帰ろう。

「えい!」

黒い鎖のようなものが目の前の鳥を縛り上げるように出てきた。

ガチャン!

「今、なんか音がしたよね?何の音だろう?とりあえず、使役術の代わりにはなっているみたいだからいいかな。」

「グルルルル!」

さっきと同じようにこちらを見てうなっているんだけど、とても弱弱しくなってる。目に光が消えかけてる!

「やばい!」

このままだとこの鳥が死んでしまう。せっかく回復させようと思って準備をしたのだから回復させないと。

「ヒール」

回復魔法は僕が自分が転んでケガしたときにしか使ってきていなかったから気が付かなかったけど、ここまで重症だと間に合わないか…。使役術と同じで何か代用できる魔法を使わないと間に合わない。おそらく聖属性魔法何だろうけど、使い方も分からないし、下手に使うとさっき使役術の代わりにかけた闇魔法が解かれかねないんだよな。まあ、その時はその時だ!

「えい!」

闇魔法はとても黒くて使いながら寒気がするような魔法だったけど、聖魔法はとても明るくて暖かい魔法だ。回復魔法よりも消費魔力が多いけどとても速いスピードで傷口がふさがっていく。これなら消費魔力の総量としては変わらないのではないか?

「ピヨロロロォォ~!」

立ち上がって翼を羽ばたかせられるほどまでに回復したみたいでよかった。あと、最初にかけた闇魔法の効力は切れていないみたいだね。注意して魔力の流れを感じ取ると鳥を縛り上げるように僕の魔力が存在している。これはどちらの魔法もなかなか使えそうだね。闇魔法の方は契約魔法、聖魔法の方は全快魔法にしておこう。本当はパーフェクトヒールとかハイヒールと呼んだ方がこの世界では目立たないんだろうけど、別のものでそう呼ばれているものがあるかもしれないからね。知らないけど…。

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