1歳になりました

絵本を読んでもらった後は室内で1人で遊んでいる。

産まれて間もない頃に僕の周りを飛んでいたチョウチョらしき物体や水球、僕の周りを吹いていた風は僕自身が無意識に使っていた魔法である可能性が高いが意識して使おうとしてもできず、意識しないで遊んでいると勝手に発動する。なので、現在自分の意思で発動するように発動した際には注意して自分の体の状態や周囲の状況を確認しているところである。

今日も積み木を積んでいると積んだ積み木の周りを踊るように光のチョウチョが出てきた。急いで自分の体の変化と周囲の状況を確認しているといつもは1匹しか出てきていなかったチョウチョがどんどんと増え30匹になった。むしょうにうれしくなってはしゃいでいると体がだるくなって来てそのまま意識が落ちていった。


「起きてください。起きてください。」

体をゆすられながら声をかけられているようだ。しかし、体がだるくて動かない。

「うにゃ」

「ご飯ですよ!」

体がだるくてまったく動く気になれなかったのに、ご飯ですよ!という言葉に反応して体が目覚めた。

「はい、起きましたね。それじゃあ、行きましょうか。」

「はい!」

右手を挙げて元気よく返事をするとクスと笑われた。


いつも通り抱っこされてダイニングへ移動するとめずらしく家族が全員そろっていた。

「よし、全員そろったね。それじゃあ、ベクトールの1歳の誕生日会を始めようか」

「うん?」

「ベクどうしたの?」

「いっちゃい?」

「そうだよ。今日はベクの誕生日だよ。あれ、言ってなかったっけ?」

「あなたはベクと最近しゃべっていないでしょうが!まあ、あなたがベクに会いに行くタイミングで毎回ベクがお昼寝しているからっていうのもあるんだけどね。」

「お父さん、ベクの誕生日会を今日のお昼にするから全員お昼に集まるようにって今日の朝ごはんの時に私たちも聞いたんだよ。ベクが知ってるわけないじゃん。」

「そうだったね。ベク、お父さんのこと覚えてるよね?」

「ふん!」

ついさっきまで顔を忘れてたけど覚えていないといったら悲しむだろうから元気よくうなずいておいた。そもそも、仕事が一段落したタイミングで僕の部屋を訪ねて来ているみたいだけどちょうどその時間帯は僕のお昼寝の時間帯で僕が寝ていることは不自然じゃないし、僕は1人だけ晩御飯も早い時間帯で食べてるから晩御飯の時間帯では会わない。また、お昼も家族全員が集まって食べることの方が珍しかったりするのでお昼の時間にも会わない。生活時間帯が違い過ぎるのが会わない原因だと思うんだけど、どうやらそうは思っていないようだ。1歳児と大人の生活時間帯が同じはずがないのだから僕は仕方がないと思うのになぁ。

「それじゃあ、ベクの1歳の誕生日を祝してカンパイ!」

「「「「カンパイ!」」」」

それから大量の肉料理が出てきた。だけど、1歳児の僕がそんなに食べられるわけもなくて、そもそも僕の食事はまだ母乳と離乳食なので結局席に座っているだけ感がすごくあった。

そんな誕生日会だが僕が船をこぎ始めたのを合図に解散となった。

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