2度あることは3度ある?
再び、現世に降ろされたようだ。
体は相変わらず動かすことが全くできないし、目もよく見えない。おそらく今回も生後間もない赤ちゃんとして現世に降ろされたのであろうな。
だが、今回もまたあそこに戻りそうだ!なんて言ったってとても寒い。凍え死にそうなほどに寒い。赤ちゃんは体温調節が大人ほどうまくできないから寒いとすぐに低体温症になって死んでしまう。何とかしようにも体を動かすことができないのだからどうしようもない。頼むから早く僕を保護してくれる予定の人来てくれ!
しっかし、雨の日や雪の日の人は外を出歩くだろうか?いや、僕ならなんか特別な用事がないと出かけない。おそらく、僕を保護してくれる人も出かけないだろうと思う。これが雨も雪も降っているわけでもなくただ気温が低いだけならまだ望みがあるのだけれど、体が濡れているのが分かることからおそらく雨か雪が降っているのだろう。
あぁ。眠くなってきた。これは赤ちゃんの体がだからのか、体温が下がってきたからなのかは分からないけど抗うことは出来なさそうだ。
おやすみなさい。
♦♦♦
「おい、起きろ!」
何でだろうか?送り出した神様らしき人の声がする。もしかしなくても再び死んだんだな。まあ、2度あることは3度あると言うしこんなものだろう。
「何が、こんなものだろうじゃ。全く戻ってくるなと言うのに戻って来よってからにどうして、そんなに戻ってくるのじゃ!ワシに何かうらみでもあるのか!」
「恨んでないと言えばうそになりますが、別に恨んでいるからここに戻ってきているわけではありませんよ。あなたが降ろす先が問題があるのだと思いますよ。」
「なんじゃと!と言いたいところなんじゃがワシもそんな気がするの。何せ1度目はオオカミに食い殺され、二度目は凍死じゃからの。そうじゃ1度目は血の跡を見つけて何があったのだろうか?と君を保護する予定だった彼女が不思議そうにしていたが、2度目の凍死体を見つけた時は涙を流しながら君の骸を埋葬しておったぞ。」
「はぁ。それはどう反応したらよいのか悩みますね。」
「そうかの?」
「そうです。」
「よし、まああまり長時間君にここにいられるとワシがばれて怒られてしまうからの。君を送り出すとしよう。ついでに君には新属性魔法を作るための魔法とどのような武術や体術でも身に付きやすくなるように調整した体をやろう。さて、それじゃあ、行くぞい!」
「ちょっと待ってください。」
「なんじゃい?」
「なんとなくですけど、本当になんとなくなんですけど。このまま、現世に放り出されてもここに戻ってくる気がするんです。なので僕を胎児として誰かのお腹の中に降ろしてもらえないでしょうか?」
「う~ん。胎児として降ろすには胎児に入っている魂が邪魔じゃしの…。しかし、君の言う通りこのまま降ろすとここに再び戻ってきそうだしの、どうしたものかな?」
「それなら死産してしまう。胎児に入れてもらえませんか?」
「確かにそれなら魂が空になった体に入ることになるから何とかなりそうじゃの。しかしそれでは体を調節することが難しくなってしますぞ。」
「それでもいいですからお願いします。」
「あい、分かった。とはいえ一度やるといったものをやっぱり無理でしたではワシの尊厳に関わるからの、できる限り調節をした状態で産まれるように手を尽くそう。」
これで、降ろされてすぐに死ぬということはなくなりそうだ。後は産まれる時に何かしらの問題が起られるない限りはすぐに戻っては来ないだろう!
「よろしくお願いします。」
「よし、それじゃあもう戻ってくるではないぞい!さらばじゃ!」
4度目となる人生は何が起こるのか心躍らせながら僕の体は光の渦の中に消えていった。
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