第5話  浅い眠り

 ――こんなはずでは無かったんだ。


 ごうっと吹きすさぶ風に血の匂いが混じる。燃える炎の中に居るのは異形で。それは『いのち』を求めて探している。自身のいのちを埋める為に。


 ぁあ。どうせなら、私を屠って欲しいのに。


 ――けれど。アイツらは私を見ることはない。まるで存在などしていないかのように。自分の為に、人の為に泣く事すら許されず、ただ、乾いた唇は救いを求めて呟く。


 あぁ。殺して。と。


 殺してください。

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