第15話 レベル上げの結果

 床からバッタ8匹が投入される。ここまででバッタは28匹倒し、レベルは7にあがった。


 バッタが鈴木の周囲を取り囲む。8匹のバッタは連携プレイを見せる。背後にいたバッタ1匹がまずは飛びかかる。


 鈴木は振り向き金槌で対応する。


 キン!

 

 バッタは金槌を頭で受け止める。


 その隙きをついて、他のバッタたちが一斉に鈴木に群がる。


 そうくるのはわかってるよ!


 金槌をまるでハンマー投げするかのように振り回す。


 察知スキルを駆使してバッタの居場所は視界にはいっていなくてもある程度把握できるようになった。


 群がってきたバッタたちは金槌に衝突し見事に全匹が飛ばされる。


 バッタが周囲に散らばる。こうなったらバッタ得意の連携は意味を失う。


 鈴木は近いものから順に金槌を振り下ろす。

 

 腹が一番の弱点だが、レベル7なら背中でも潰せることがわかった。

 

 バッタとの戦いで身につけた戦法だ。

 

 無事に8匹倒せた。


「レベル8にあがりました。

 筋力が6あがりました。

 耐久力が8あがりました。

 俊敏度が6あがりました。

 器用度が12あがりました。

 魔力が16あがりました。

 トータル獲得経験値が500に達しました。報酬として「ステータス閲覧」スキルを獲得しました」


「お!「ステータス閲覧」スキルだって!赤城さんよくわかりませんが獲得しましたよ!これで自分のステータスを見られるんですね」


 鈴木は赤木を嬉しそうに見る。


「えぇ、今回の狙いの1つがこれでした。トータル経験値が500に達すると獲得できるスキルなのです。おめでとうございます」


 ついに念願のセリフが言えるぞ。


「ステータスオープン!」

 

「まあ別に叫ばなくてもいいんだけどね」


 赤城はほほえみながらつぶやく。

 

 鈴木の視界に文字が映し出される。

 

「レベル8、筋力38、耐久力45、俊敏度38、器用度64、魔力80」


 出たー!これが自分のステータス。視線を動かしても表示されるな。網膜に写っているようだ。会社の後輩の山田にARグラスを貸してもらったことがあるが、あれと似ている感覚だ。

 

 肝心のステータスはやはりレベルアップ時に伸び幅が大きかった器用度と魔力が高いな。

 

「赤城さん、私の能力ってみえてるんですよね?自分はいかがでしょうか?」


「まぁ、激弱って部類ね……」


 もともと運動が得意ではないのである程度予想はしていたが、ここまではっきり言われると傷つくな……。


「鈴木さん、私はスキルであなたの基礎能力値はわかるの。ただ、ユニークスキルだけは読み取れないんです。よかったらあなたのユニークスキル発動条件を教えてくれるかしら?右下にある「スキル」という文字に意識を向けると獲得スキルが表示されるわ」


 言われたとおりにやってみると、画面が変わる。


 <保有スキル>という文字が浮かび、その下にこれまで獲得したスキルが表示された。


【熟練スキル】

 恐れぬ心Lv1、察知Lv1、物理防御Lv1、身体強化Lv1、物理攻撃Lv1、ステータス閲覧


【ユニークスキル】

 武器錬成


 さらに、「武器錬成」に意識を向けると、ポップアップが表示された。中にはスキルの説明が書かれていた。


 武器錬成:仲間の武器を自身の魔力と引き換えに創り出す。相手のイメージが具体的であればあるほど、相手にあった武器を創り出すことができる。使用魔力はイメージした武器の性能に応じる。自身に使用した場合は魔力消費が5倍になる


 これが自分のユニークスキル。


 文章を音読して赤城に内容を伝える。


「身体能力は最弱の部類、ユニークスキルからみても鈴木さん、あなたは完全に後衛タイプね」


 自分用には5倍の魔力が必要なので、かなり使い勝手が悪いな。


「前に多摩川でのバトルのとき、自分用に武器を出そうとしたけど何も反応なかったのに」


「あれは魔力が足りなかったんだと思います」


 黒宮が説明する。


「さぁスキルもわかったところで、続きを始めましょう!里中くんあと何匹でしたっけ?」


 天井のスピーカーから里中が答える。


「あと64匹でーす。まだまだいますよー」


 まじか。鈴木は心が折れそうになる。


「もうバッタのバトルも飽きました。里中くん全部出しちゃいましょう」


 赤城が両手を上げて伸びをしながら悪魔的なことを言ってきた。


「了解でーす」


 里中が気軽に返事をする。

 

「え、赤城さん、ちょっとまって」


「時間もないのでさっさと終わらしちゃってくださいね」


 赤城はにっこり笑いながら答えた。

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