レガシオン・センス〜対人関係クソザコな最強ソロゲーマーが、VRMMOの嫌われモブに転生とか無理ゲーじゃね？〜

第98話 観戦① 我道&狂流川

　――SIDE:我道竜子――

「おーおー、大した人気っぷりだな、アイツ」

　特別競技場展覧席。

　生徒会に所属する生徒のみが入れる特等席に座りながら、私は大量のチキンとポテトをテーブルに広げ、眼下の光景に胸を躍らせた。

　自分で御膳立てした舞台だとは言え、どう転がるのは未知の領域だ。面白い事が起きるのを願いつつ、私は目の前のチキンに齧り付いた。

「お。やってるねー、竜子ちゃん」

「……狂流川か。テメェもこっちに来やがったか。下で御仲間と観戦してりゃ良いものを」

「だって、こっちの方が良く見えるんだもん」

「目当ては翔真か？」

「当・然☆」

　言いながら、狂流川の奴は私が用意したポテトを勝手にひとつまみしやがった。

　やっぱコイツは好きじゃねぇ。

　私は改めて思ったね。

「私達の時もこんなに盛り上がったのかな？」

「――いいや？ 誰かさんが棄権してくれたおかげで、実に盛り下がった対抗戦だったぜ」

「あは☆ そうだった！ ライブと重なって出られなかったんだよねー。……で、竜子ちゃんは今でもその事を気にしてる――と」

「うっぜ……2年の対抗戦は5月だったよな？ そん時にテメェとは改めて白黒付けてやるよ！」

「……あー。確かゴールデンウィーク明けだっけ？ ごっめーん☆ 私、その月は仕事が入ってるから無〜理。また今度遊ぼうねっ♪」

「はぁ！？ おまっ……ざけんなっ！！ 何回そうやってすっぽかしゃあ気が済むんだ！？」

「だからー。ごめんって」

「……ッ」

　形だけ謝って見せる狂流川だが、本音じゃ申し訳ないなんて思っちゃいねぇんだろう。アイドル活動だか何だか知らねぇが、ABYSSを二の次にしやがるコイツの性根は気に食わねぇ。

　……チッ、苛立っていても、コイツが参戦しねぇ事は変わらねぇか。腹立だしい限りだが、今は1年の対抗戦に集中してやる。

「……1年の対抗戦、お前はどう見るよ？」

「どの組が勝つかって事？ 順当に行ったらA組なんじゃない？ もう既に2-Dの実力は超えてるみたいだし、みこちゃんがいなくても彼等の勝ちは揺るがないと思うよ☆」

「順当に行ったら、ね――」

　この戦力差で断言しねぇって事は、コイツもあの野郎を意識してやがるのか……？

「――ま、全ては翔真君がどう動くかに寄るんじゃない？ 彼が"勝ち"を取りに行くなら勝負の行方は分からないと思うよ」

「へぇ？ 随分とアイツの事を買ってんだな？」

「まぁねー☆」

　答えながら狂流川は手元の魔晶端末（ポータル）を操作し、その画面を私へと見せてくる。

　表示されていたのは校内ネットのSNS掲示板。クラス対抗戦についてのスレッドだった。

「あん……？ 何だこりゃ？」

「賭け事だって♪ クラス対抗戦で何処が勝つかを皆がネットで賭けてるの☆」

「はーん」

　私の知らねぇ間に面白そうな事をやりやがって。内容如何に寄ってはコイツら全員取り締まっても良いかもな？ 思いながら私は狂流川の魔晶端末（ポータル）に目を落とす。

[101:noname:2025/04/28(金)]

【第1回 1年生クラス対抗戦 ダービー】

現在のオッズ↓

1.◎A組 倍率1.50

2.○B組 倍率2.50

3.△C組 倍率8.00

4.✕D組 倍率30.00

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つまらなさ過ぎて草

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俺の予想じゃA組が勝つね

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予想じゃねーしww

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D組オッズ30倍ってヤバくね！？

大金持ちチャンスじゃん！！

誰か賭けろよ！！

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105＞＞

どーぞどーぞ

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石瑠翔真もコレで終わりか

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冷静に考えてA組の針将仲路を怒らせてるのってヤバくね？ 生徒会長バリアがあっても生き残れる気が全くしない

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石瑠翔真の敵一覧↓

近衛大将・針将家

幽蘭亭地獄斎with陰陽寮

通天閣歳三&熱狂的信者　

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オシッコちびりそうwww

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こんなん石瑠家取り潰しやん……

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奴には生徒会長という最強の味方がいるから

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112＞＞

ア――ッ！！

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113＞＞

はい、不敬罪

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113＞＞

通報しときました

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113＞＞

無茶しやがって……( ；∀；)

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噂で聞いたけど

生徒会長が帝の子ってマジ？

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117＞＞

しーーッ！！

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消せ消せ消せ

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スレッド加速しろー！！

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翔真のﾏﾀﾞｧ?(・∀・ )っ/凵⌒☆ﾁﾝﾁﾝ

「相変わらず、くっっだらねぇなぁ……」

　魔晶端末（ポータル）を狂流川の奴に返しながら、私は感想を口にする。大勢の予想はA組勝利。D組が蹂躙されると思ってやがる。

　私も全く同意見だ。

　――だが、狂流川の奴はそうは思ってねぇみてぇなんだよな……？

　一体、何を掴んでやがるのやら。