第16話 PT編成〜前準備〜
校内ネットの掲示板では、石瑠翔真アンチスレが勢いトップをそのまま維持。独走状態のまま来週には100スレ突破も夢じゃないと言われている。掲示板には僕関連のクソスレが乱立しており、もはや荒らし状態。中でも異彩を放つのは【天樹院×石瑠を語るスレ】だろう。
残念ながら……此方を開く勇気は、僕には無い。石瑠翔真という存在は、完全にネットの玩具と化していた。ネットリテラシー、何処行った? 思わず問わずにはいられない。
「どうしてこうなった」
学習区の校舎をトボトボと歩いていると、擦れ違う生徒達から「おい、アイツ……」などと言った声が聞こえて来る。
気分はまさに、ゲイ能人!?
くそがこなくそがァァァ――ッッ!!
「天樹院め〜〜!! あの野郎……ッ!!」
よくも"僕"の初めてを――ッ!!
ゆ、ゆるざん……っ!
生徒会長だが何だか知らんが、も〜知ったこっちゃ無いね!!
アイツは――ヤる!!
僕がヤる!!
……いや、下ネタとか、そういう意味ではなくてね? 僕が倒す! ギャフンと言わせる!
これはもう決定事項である!
「くぅ!」
何が許せないってさぁ――あの瞬間、シャイボーイな我がJr.が微弱な反応を示してしまった事なのよね。27年の非モテ人生は、こんな所にも弊害が出てしまっていたのか……!?
「早く忘れなきゃ……っ!」
僕は哀しみを背負いながら、次の授業を行う"転送区"へと足を進めるのだった。
因みに、昼食はまたしても抜きである。
食う暇なんて欠片もねぇ!!
◆
転送区は塔の中心部にある。入口は一般にも開放されており、職業探索者の姿もチラホラと見えた。ABYSSを管理するのは政府直轄の特殊機関だ。今やお馴染みとなっている
ABYSS内部には
「25番! 25番はいますか?」
「あ、はーい……」
1-Dの集団を見付けた僕は、小走りで彼等へと近付いて行く。点呼には間に合ったみたいだけど、コイツは完全に遅刻だな。
「それでは、ABYSS探索に付いての説明を行います。各自、
全員がアプリを起動したのを確認しつつ、影山は説明を続けて行く。
「アプリ内の表示項目に[パーティ]という欄があります。それをタップしてみて下さい」
言われた通りタップすると、画面がPT情報へと切り替わる。現在は誰とも組んでいない為、自分の名前しか記載されていない。
「そのまま[招待コードを表示する]を
人間関係が悪化すると、勝手にリーダーを降ろされてる場合もあるらしいからな。しかも、誰がリーダーを変更したのか分からない。疑心暗鬼に苛まれ、PTが空中分解したという話も良く聞いたものである。
……最も、ソロ専の僕には関係無いけどね。
「それでは、実際にPTを組んでみましょう。型としては探索者の基本系である
「先生、
発言したのは相葉総司だ。こう言った事を言い出すという事は、色んな生徒からABYSS探索に誘われているという事だろう。
「六人以上のPTを組む事は、アカデミーでは原則禁止としています。主な理由は効率ですね。六人以上のPTを組むと、移動距離が短くなり、獲得資源が減少するという統計が出ています。魔物を倒した際の経験値も六等分されますので、資源採取が目的の場合、メリットよりもデメリットの方が大きいと考えられているのです」
大人数で行くと階層主も出現しないしね。階層主を倒せなければ、次層への転移石は輝かない。道中を楽に攻略する分には適してると思うけど、最終的に階層主で行き詰まるなら最初から適正編成で挑んだ方が良いだろう。
「最も効率的と言われているのは
PTの
敵を切り崩す【アタッカー】
防御を引き受ける【タンク】
仲間を回復する【ヒーラー】
PT編成と言うのは、此れ等の
とは言え、
単純に、効率悪いしね。
上級者ほど、道中の人数は減らして行く。僕がソロで探索していたのも、効率の面から見ると、別に悪い事では無いのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます