生き地獄を今度こそ謳歌しようと思う。(仮)

@pinko_chan

第1話-プロローグ-

「お前の人生って詰んでるよな」


 数時間前、久しぶりに会った友人に言われた言葉である。


 俗に言う『こどもおじさん部屋』と呼ばれる実家の自室で明かりも点けずに横になっていると何度もその言葉が脳内でリフレインする。


 (やめだやめだ。現実逃避しよう。いつものように)


 寝返りをうって、思考を切っていざ寝ようと意識を切り替えようと努めるが、自分の意思とは反し、身体は覚醒仕切っていた。


 目を開けると、築四十年を迎えた見慣れた天井が暗闇に慣れた目に映った。子供の頃にチャンバラで傷つけた天井である。視線をずらせば、眩しい訳でも無いはずの僅かな月明かりが目に染みた。


 自分でも理解っている。

 否、理解っているつもりなだけである。


 人に嘘をつくことに罪悪感を感じなくなったのはいつからだったか。

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