第19話
「──そこで、ララの専属使用人をつける。ララの命令は俺の命令だと思え」
シャルルはギロリと視線を使用人たちに向ける。本人には睨んでいるつもりはないのだが、その目つきは魔王らしく鋭い。
「陛下」
「なんだ」
マリーがそっと手を挙げて声をあげた。
「ララ様の専属を、私に任せてはいただけませんか」
「マリーさん……」
思いもよらない発言に目を丸くしたララ。すぐに顔を綻ばせるとララは階段を下り、マリーの元へ駆け寄った。
「本当に、いいんですか?」
「はい」
「よろしくお願いします……!」
彼女の両手を取ってギュッと握る。そして眩いばかりの笑顔を向けた。ララの表情を見て周りにいた従者たちは老若男女問わず再び頬を染める。
そこで勇気を振り絞った一人の騎士が勢い任せに手を挙げた。
「わ、私も……ララ様の専属に──」
「駄目だ」
「えっ?」
シャルルの鋭い目が更に冷たく凍りつく。手を挙げた騎士は赤くしていた顔を今度は真っ青にした。
「男は駄目だ」
簡潔にそう述べたシャルルからそれ以上の説明はない。それ以外に理由はないからだ。
「ですが、専属騎士が必要では──」
そんな声が使用人たちから上がるが、彼は表情を変えず黙らせた。
「それについては吟味が必要だ。しばらくはセザールかクラリス、リュカが交代で護衛する」
国の序列上位の3人が護衛する。その発言に辺りはもう何度目か分からないほど騒めいた。
「男共はララを見るな。触るな。近付くな」
過保護なまでのララへの愛情。それは今まで見たことがない魔王の一面である。
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