第74話 急な百合展開

「で、では失礼します……」


 ゴクリと生唾を飲んだ柚葉は、ゆっくりと双葉の胸へと手を近づける。

 ピタリと肌に触れた瞬間、


「んっ……」


 双葉はビクっと体を動かすが、決して嫌な顔はしていない。


「や、柔らかい。ハリがあって……めちゃエロい……」


 目がキマッているものの、柚葉から下心は感じられない。触り方も変にいやらしくない。

 風船を触るように、慎重な手つきだ。


「双葉さんのおっぱい、眼福です」


「自慢の胸だからね」


 と、ただでさえ主張の激しい胸を張ってさらに強調する双葉。


「何カップあるんですか?」


「確かGなはずだけど……最近ブラがキツくなってきたからもうちょっと大きいかも」


「いいな……私なんてCにも満たない弱小なのに……」


 自分の胸を持ち上げて比較しながら、はぁっと大きくため息を吐く。

 ここの世の大抵の女子は、双葉と比較してはいけない。

 容姿なんかは比べたところでため息が止まらなくなるだけだ。


 性格は……双葉より勝る人なんていくらでも存在しているから比較しても問題はない。


「私は小っちゃいおっぱいも好きだよ~」


「きゃっ! 双葉さん急に何を⁉」


 手の指を触手のようにうねうねと動かすと、目をキランと輝かせて柚葉を襲う双葉。


「大きいと肩は凝るし、両手で荷物を抱える時は当たって邪魔だし……たまに張って痛いもん」


「それは大きい人にしか分からない悩みですね……んっ……私はその悩みが羨ましいんですよ……あっ//」


「比べて柚葉ちゃんのは小ぶりで可愛いし、巨乳では考えられないくらい柔らかいし、なにせ小さいのを恥ずかしがってる表情が可愛い!」


「それおっぱい……っ……関係ないじゃないですか!」


 揉まれて顔を赤らめ少し喘ぎながらも、柚葉は声を張る。


「大きい人には分からないんですよ! 小さい人特有の悩みが!」


「柚葉ちゃん⁉ いきなりそんな激しくされると……んあぁ//」


「いいですね~! 両手に収まりきらないおっぱい、揉んでいて飽きない――やっ//……双葉さんっ……」


「小さい方が感度がいいって聞くし、イジり甲斐があるねぇ」


 巨乳に対しての妬みをぶつけるかのように、柚葉は双葉の胸を揉みしだき、対抗するように双葉も柚葉の胸を揉み始める。


「……はぁ」


 目の前で突如始まった百合展開に、俺はとっと両手で目を覆う。

 まだ部屋の中だったらやってくれて構わない。


 けどここは風呂だ。

 俺の体を隠すのは薄っぺらいタオル一枚だけ。


 すなわち勃ったら終わりというわけだ。

 だからなるべく2人を見ないようにしているが、耳から入る情報には抗えない。

 むしろ目を閉じていて、音から2人の様子を想像してしまう。


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