第57話 傍にいてくれて
「うひょぉぉぉ~~‼ やっぱ私天才? 天才かもしれないぃぃ~!」
ホテルのベッドにて、ハイテンションで飛び跳ねる双葉。
布団の上に放り投げられたスマホに表示されるのは、Twitterの画面。
『人間性があって推せる』
『ただの暴言厨だと思ってたけど、ちゃんと理由があったんだな……』
『アイドルの時も推してたけど、やっぱふたばちゃんなんだよな~』
『会見から正直嫌いになってたけどまた好きになってしまった』
『そんじょそこらの新世代よりはるかに面白い』
『トークが飽きないなんなんだこの魅力は』
そこには、双葉を評価する内容のツイートがこれでもかと表示されていた。
最終手的な、配信に来た人数は50万人。最大同時接続数30万人。
Twitterのトレンドをすべてかっさらい、総ツイート数は50万件以上。
そのうち、双葉を評価するものは半数を上回っていた。
「これじゃこれぇぇっぇ~! これが双葉の力じゃぁぁぁ~!」
想像以上に初配信が好調だったので、双葉もこのテンションということだ。
俺自身も、今すぐベッドの上で飛び跳ねたいのだが、ベッドの耐久性もあるのでやめておく。
「大反響だったな。次回も楽しみになってきたわ」
ソファーにくつろぎ、双葉を眺めながら俺は言う。
ここからまた炎上するということはないだろう。双葉がなにかやらかさない限りはだが……
今日の配信を見る限りだと、心配はなさそうだ。逆に何個も名言を世に残して名を刻むかもしれない。
一夜にして大炎上したのを、一夜にして名誉を回復させたんだ。
双葉になら十分可能性がある。
「次回は同接少なくなるだろうし、ちゃんと固定のファンを増すのが肝だよね~」
ベッドに座り直すと、スマホを見ながら呟く。
「あとは、動画の内容とか双葉自身が変なこと言わなきゃファンは増えると思うぞ?」
「私もそう思う! 不祥事はもう起こしたくない!」
「うん、やめてくれよ」
「まぁ、可児くんと歩いてる時に盗撮されてもスキャンダルにならないのはせめてもの救いだよね~」
「ホントそうだよな」
もう公にされているから晒されたところで問題はない。逆に幸せそうとでも言われそうだ。
「とりあえず! 今日は食べて飲んでヤって寝る! 疲れたから!」
再度ベッドに飛び込み唸る。
「で~も! その前に可児くんに言いたいことがあるんだった」
そのまま、ぐーたらするかと思ったが、また双葉は起き上がり俺の方を見る。
「ん、どうした?」
小首を傾げながら、双葉の横に座る俺に、
「ありがとね。私の隣にいてくれて」
と、両手を包み込みながら言った。
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