第53話 晒し

「まずは~、『死ね』『消えろ』みたいなストレートなモノから検索していこーかー」


 キーボードで軽快にタイピングをする双葉。

 ネット上で指定したキーワードから一斉検索された件数は3万件。アカウント数は2.6万。


 配信画面上には出てない方のモニターで、とある方法を使い削除されたアンチコメを表示させると、10万件をゆうに超える『死ね』などのツイートがされていた。

 その画面を配信画面に映すと、


「はいこちら~。消去したものの一部~と、リアルタイムでツイートされてるコメント~。相変わらずすごい言われようだわ~、面白い。

 アカウント名『すみか』『なんかだ天使ちゃん配信始めたらしいけどさ、どうせまたファンを金を巻き上げて愚痴言って引退するんだろうな。マジで人としてゴミ。早く死んでほしい』はい次~、これは消去されたものから。

 アカウント名『さげむら』から~。『アイドルの時からゴミ人間だと思ってたけど、まだ懲りずに活動するとかマジで頭湧いてる』『目障りだから死んでくれ』『ネットに殺されて欲しい』これは消去もしたるなるわけだ~、だってこんなの一発で捕まる内容だからね~」


 画面を見ながら、淡々と呟く。

 アンチコメントも、軽いものから重いものまで様々。一言で終わらせる人もいれば、長文で言う人までいる。


「すごいよね~、こんな軽々しく『死ね』とか言えるの。私だって会見の時ボロクソに言ってたけど『死ね』なんて一言も言ってないよ。むしろ正論しか言ってないし」


「私はこんなこと言われても大丈夫、むしろ滑稽すぎて笑えるくらいのメンタルがあるけど、これがもし、メンタルが弱い人だったらの事考えたことある?」


「芸能人とかがさ、ネットで叩かれて自殺とかニュースでやるけど、そんなの一部に過ぎないんだよ。世の中にはネットに殺された人なんて腐る程いるのよ。私も身近に見たことがある」


「お前らが軽はずみで言ってるのか、悪意を持って言ってるのまでは分からないけどさ、その言葉で人を殺せるんだよ」


 画面を自動でスクロールさせ、批判ツイートをずらりと表示させる。

 それを流しながら、双葉はまた言葉を続ける。


「自分の言葉に責任を持てよ。その一言で人を殺すかもしれないっていう責任を持ってからこれから発言しろ。そんなのも分からないクズはこれからも同じことを繰り返すだろうから私が社会的に潰す」


 カメラに人差し指を差し、あたかも画面越しの一人一人に語りかけるように。



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