第51話 虜

「さて! 今日の配信では私がこれからどんな活動をしていくかを配信を話そうと思うよ~」


 配信画面上に、事前に作っておいたパワーポイント表示させる。


「みんな『ふたばちゃんはどんなことをするんだろう?』とか『Youtubeだけやるのかな?』とか疑問に思ってるだろうからそれを今から説明していくよ~! まず一つ目!」


 と、一枚ぺージをめくる。


「まず基本的にする活動は~、毎週金曜に動画更新! 毎週水曜日と土曜日に生配信!」


 本当は、張り切って毎日更新と言いたいところだが、それだとアイドル時代より過酷になってしまうかもしれない。


 動画の撮影に編集。まぁ、編集のほとんどは俺達がやるのだが、最終確認や細かい部分などは双葉も自分で編集をする。それに、公式Twitterを動かしたりなど、やることは山ほどある。

 Youtuberになる前、俺と双葉で決めた約束。


『ちょっと頑張ってがっぽり稼いでめっちゃ休む』


 世の中を舐め腐ってるようにしか思えないスローガンだが、俺達にとっては大切なことだ。


 これまで頑張ってきた分、これからは程々にする。そして休む。

 とりあえず、今は。


「生配信については、雑談とかゲーム実況とかあと気まぐれで何か企画をやるかもしれないから是非見に来てね~!」


「今のところは、配信以外で何かすることは考えてなくて。ある程度慣れてきたらYoutuberが集まるイベントとかにも参加しようと思ってま~す!」


「あとはそうだな~、これは単純な夢なんだけどコラボ商品とか出してみたいよね~。ミ〇キンみたいにふたば○○みたいなやつ!」


 次々とパワーポイントのページをめくりながら夢中で話す双葉。

 その顔がなんとも楽しそうで、俺もなんだか和んでくる。

 画面越しの視聴者の反応も、


『なんかアイドルしてるより楽しそうじゃね?』


『自然な笑顔な気がする』


『見てるこっちまで楽しくなるこの配信』


『笑顔が可愛い!』


『グループとかの縛りがなくなったからか知らんけど、自由に喋ってるから聞いてて飽きない』


『やっぱ、アイドルで売れてただけの実力はあるんだよな。すげーわ』


 段々と批判ではなく、評価してくれるコメントが多くなる。

 ただ話しているだけなのに、人の心を掴んでしまう。

 これは柚葉の言う通り、一種の才能だな。


 世に出さなきゃ勿体ないという柚葉の気持ちも分かる。

 ここから、どれだけ本物のファンが増えるのかが楽しみだ。

 もう、ガチ恋勢という害児たちは近寄ってはこないだろう。せいぜい虫けらがほざいてる程度で終わるだろう。


 それを上回るほどの、ちゃんとしたファンが付くことを俺は確信している。

 あんな楽しそうな双葉の笑顔で、虜になる人などいないからな。


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