第50話 初配信
「さぁさぁ始まりました! 新始動! 『ふたばチャンネル』‼」
軽快なBGMと共に、カメラに向かってハイテンションに挨拶をする。
カメラ、マイク、照明。配信とコメント確認用のモニターが2枚。
事務所の一室にて、双葉の初配信が始まった。
時刻は6時半。
日曜日ということもあるからか、同時接続数は26万人。
ライブ配信の待機時間から、急上昇一位を獲得。Twitterでも『ふたばチャンネル』『初配信』『ライブ配信』『だ天使ちゃん復活』などがトレンド入りを果たしていた。
「いやぁ~、こうしてまた活動が再開出来て嬉しいよぉぉ~!」
画面越しの人たちに手を振りながら笑顔を作る双葉。
俺は、カメラの裏側にてコメントの確認や配信状況などの確認。カンペ出しやその他裏方に回っている。
『すごい盛り上がりだな』
マイクが拾わない音量で、コメントを見ながら呟く。
増え続ける閲覧数。コメントも待機時間も含め開始30分も立っていないのにも関わらず、30万コメントに達そうとしている。
『うぉぉぉ再始動だぁぁぁ』
『またファン貶す為に始めたんか』
『しょーじきどうでもいい』
『ふたばちゃんだ~! 可愛い!』
『好き』
『クソがYoutube始めんな』
『また同じこと起きそうで草』
『いいんじゃない? また同じようになればwww』
『可愛いけど性格最悪だよな』
『よくこのテンションでいられるよな』
『ファンのことなんも考えてなくて草』
『もう推せないな』
内容も、批判が7割と言ったところだ。
これくらいは想定内。
「まずは報告からと行きましょうかぁ~」
と、双葉はパンっと一回手を叩く。
「なんと! 事務所に入りましたぁぁ~! パチパチパチ~。それも! アイドルのしてた頃の社長が新たに立ち上げた『RAPID』という事務所!」
「社長が私の事を誘ってくれてさぁ~。一人で私がやろうとしてたのを見てくれてて声掛けてくれたんだよね~。あ、ちなみに彼氏もそこで私のマネージャーしてまぁ~す!」
『え! ガチか!』
『よく社長こんなやつ誘ったなww』
『金儲けの道具としか見られてないやん』
『社長の恨みを買って断れなかったんじゃない?』
『ただの駒』
『終わってるな』
『誘う社長も終わってるな』
『新事務所を立ち上げた事はこの前知ったけど、まさかこれが事務所の顔になるとは……終わたな』
事務所の所属と、その社長が直々に誘ったことを言うと、コメントは大荒れ。
どっちも終わってるという内容の書き込みで溢れかえる。
確かに、裏の事情を全く知らないとそう見えるのは仕方がない。
これも想定内だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます