第42話 関係性


「アイドルファンにはボロクソ言い、事務所に迷惑を掛けてからやめる。そんな人がこれからYoutubeを始めたとして成功すると思うのかね」


「成功しますよ。絶対」


「どっからその自信が湧いてくるのやら」


「自信とかじゃなくて、絶対に私が成功させるんです。これは宣言です」


「双葉……」


 双葉の真っ直ぐと凛々しい顔に、横にいた俺は思わず声を漏らす。

 相当な覚悟を持っているんだな。


 アイドルを辞める時も、同じような顔をそうえばしていた。

 この顔をする時、双葉は本気だ。


 何があっても、どんなことがあってもやり遂げる。

 これから散々な目にあったりするだろうが、それでも双葉はめげずに取り組むだろう。


 そんな覚悟を決めた双葉の表情を見た社長は、


「はぁ……やっぱ双葉くんすごいよ。私の圧が通じないんだもん」


 ハァっと大きくあくびをしながら伸びをする。


「社長、もうそろそろ―――」


「んだね~。よしっ! Youtuberやってもいいよ」


 マネージャーが横から口を挟むと、ケロッと顔色を変えた社長はサムズアップをする。


「え、どうゆうこと?」


「……さぁな」


 いきなりの態度の変りように、俺と双葉はあんぐりと口を開ける。

 今、許可を出された?

 どうゆうことだ。全く状況が理解できない。


「だ~か~ら~! 別に気にせずYoutubeなんてやっていいって言ってるの~!」


 ポカンとする俺達に、社長は頬を膨らませる。


「え、そんなあっさりといいんですか? そしたらさっきまでの口論みたいなのはなんだったんです?」


「あんなのお遊びに決まってるじゃ~ん。気にしない気にしない~。ただ生半可な気持ちでやられるとムカつくから見極めてただけだよ~」


「び、ビビることしないでくださいよ~」


「私があんなガチで物事をいう訳ないじゃん? これまで一緒に仕事とかしてて分からない?」


 ケラケラと笑いながら言う。


「それに、危機感じてるからか知らないけど敬語なのマジでウケるんだけどwww」


「クソっ―――これだからこの事務所は嫌なんだよ」


「そうそれぇ~!ww」


 不機嫌そうに睨みつけながら舌打ちをする双葉を見て、社長はお腹を抱えて大爆笑する。

 もしかして、この2人は不仲なのか? それとも仲がいいからこうゆう砕けた感じで話せるのか。


 今の状況だけの絡みだけではよく関係性が分からない。



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