第40話 呼び出し
「あの~、なんで私達呼ばれたんですか?」
「……。」
一ヵ月後、Youtubeを始める環境を整え、動画を撮影、編集し投稿。
……したのはよかったのだが、
「なんだあの動画は。ぶっ殺されたいの?」
投稿した数時間後、俺が予想した通り、元事務所から『ふたばチャンネル』宛にメールが届いた。
その内容は、単刀直入に言うと、『明日、経緯を説明しに事務所に来なかったら訴えて社会的に殺す』との内容。
その文書を見て、青ざめる双葉。だろうなと頭を抱える俺。
それで今に至る。
本音を言おう。マジでバカだ双葉は。
修羅場極まりないしこの空気。
双葉だけ呼び出されるならまだしも、チャンネルのスタッフという名目で呼ばれた俺。
目の前には事務所の社長。そして、元マネージャー。
今すぐにも逃げ出したい。
しかも、社長と元マネージャーには俺が双葉の彼氏だという事がバレている。
というのも、昨日メールを返信する時に双葉がテンパって意味がないのに『彼氏兼マネージャーも連れていくので、一緒にお話し頂けませんか?』と送ったからな。
マネージャーとは言ってもいいだろうが、彼氏という単語は絶対に必要なかった。
全部ひっくるめ、戦犯は双葉だ。
俺は対策しておけとあれほど言っておいたんだ。
遅かれ早かれこうなることが検討ついてたから。まぁ流石に急展開すぎて俺もビックリしているのだが。
ちゃんと計画を練って行動をしていたらこんなことにはならなかったぞ絶対に。
「さて、一から説明してもらおうか」
こちらに鋭い眼差しを向けてくる社長。
「あの~、どこから説明すればいいんですかね」
そんな目を向けられた双葉は、反対に臆病な目をしながら肩を竦める。
「どこって、まずはその隣にいる彼氏兼マネージャーの事を説明してほしいかな。一番気になるし」
「あ~、はい。分かりました」
と、2人の視線は一気に俺へと向けられる。
「えっとあの~。双葉の彼氏でチャンネルのマネージャーの可児姫綺です。本日はよろしくお願いします」
とりあえず、挨拶をしておく。
こういう時に、第一印象は大事だ。
「姫綺くん……ね~。堅実でいい子そうだ。双葉と同じ年なんだっけ?」
「はい。同じ高校で同じクラスです」
「ほほう」
「社長さんも、お若そうですね……差支えなければ年齢伺ってもよろしいですか?」
俺がこう聞く理由は一つしかない。
どう見ても、俺達より年下に見える。
身長は座っているから分からないが、社長椅子に比べて体が小さい。おおよそ150センチ以下だと思う。
顔も童顔。ボブショートの黒髪。
街を一緒に歩いた時に、小学……中学生くらいに間違われそうな見た目だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます