第38話 未来への投資だよ~


「凄いでしょ? でももっとすごいのがそのお金がほぼ私に入ってくるってことなんだよね~」


 瞳に¥を浮かべながらじゅるりとよだれを啜る双葉。


「金持ちがさらに金持ちになるな」


「汚いお金だけどね~、裁判のお金は」


「アイドルのお金も俺からしたちょっと汚いとは思うけどな」


「あれは仕事だよぉ~。笑顔で人を騙してたっていうのは事実だけどね」


 自分で言ったのはなんだが、言い方悪いなホント。

 だったら世の中のお金は全部汚い気もする。


 まぁ、笑顔を作るだけでお金を貰えるアイドルはある意味最高の職業なのかもしれないな。

 レッスンやその他仕事、ファンの対応などでしんどそうなのを隣で見てる身からしたら、そんなこと微塵も思わないがな。


「それを軍資金にして機材とか諸々を揃えようかと思うんだよね~」


「いいんじゃないか? 結構費用かかりそうだし」


「ざっと200万円はかかるんじゃないのかな?」


「え、そんなに?」


「全部最新のものを買おうって思ってるし、パソコンだけでも50万円はかかるんじゃない? あ、2個買うから100万円か」


「お金の使い方に遠慮がないな、ホント」


「こうゆうのは未来の投資だよ~。それにお金は腐るほどあるので」


 ドヤ顔でサムズアップしてくる。

 確かに、初期投資が高ければその分あとから入って来るお金が大きいと聞いたことがある。

 作業効率が上がり、モチベーションが上がる。


「んじゃぁ、買出しには行くとして~。いつ行く?」


 カレンダーを確認しながら俺は聞く。


「うんとね~、今週の日曜とかどう?」


「おっけ~、そしたら4日後か」


「専門店行って色々吟味しよ~! 持って帰るのめんどくさいからすぐ使う物以外は配送もしてもらお~!」


「あ、あの!」


 メモを取りながら俺達は話していると、横から柚葉は手を上げる。


「どうしたぁ?」


 小首を傾げる双葉に、


「それ! 私もついて行っていいですか⁉」


 胸に手を当てて言う。

 足手まといにならないなら全然いいと思うのだが、色々と迷惑を掛けそうで心配だ。


「まぁいいんじゃない? 荷物持ちは必要だし」


 不安を抱える俺をよそに、あっさりと返事をする双葉。

 こいつ、人を駒の様に使ってるな。


 でも、荷物持ちがいるのは助かるし、双葉が命令すればなんでも動いてくれそうだな柚葉は。


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