第25話いい子すぎる


 アイコンタクトをして、一度双葉に確認する。

 双葉も、この状況的に言うしかないと思ったからかコクリと一度頷く。


「クラスメイトなんだけど……その、双葉の彼氏でもある」


 突然のカミングアウトに、


「あぁぁぁぁぁぁ! やっぱりそうだったんですかぁぁぁぁぁ⁉ じゃなきゃこんな状況にだ天使ちゃんが男を呼び出す訳ないですもんねぇぇぇぇぇえ!」


 あからさまに動揺する。


「とりあえずさ、落ち着いて」


「は、はい……ふぅ、ふぅ」


 しかし、取り乱していた柚葉であったが、双葉の一言で落ち付きを取り戻す。

 すごいな双葉の影響力。


「一旦さ、階段に座ってお話しない? 私も柚葉ちゃんと話して見たかったから」


 柚葉の顔を朗らかな笑みで覗き込みながら言う。


「え、えぇいいんですかぁ?」


「もちろん! 時間はたっぷりあるんだしゆっくり話そ?」


「は、はい!」


 双葉に誘導されるがまま、柚葉は階段にちょこんと座る。


「あの、そろそろ双葉を離してあげてくれないか? さっきから思ってたけど」


 壁に寄りかかりながら2人見ながら言うと、


「なんであなたに指示されなきゃいけないんですか! 私は嫌ですよ! あと10分はこうしてます!」


 10分でいいんだ、とツッコみたい気持ちは置いておこう。

 反応から見るに、俺は敵対視されているようだ。

 仕方ないことではあるが。


 ファンから見れば、『だ天使ちゃん』を引退させたと言っても過言ではない人物だからな俺は。


「一旦、可児くんは私たちの話聞いてるだけでいいから」


「……分かった」


「そうです! 私とだ天使ちゃんのひと時を邪魔しないでください!」


「す、すんません」


 これ以上刺激しないように、俺は静かに2人の前にしゃがみこむ。

 すると、コホンと双葉は咳ばらいをすると、


「何から話そうかな~。色々聞きたい事があるから一個づつ聞こうかな?」


「私に答えられることなんならなんでも答えます‼」


「なら、まずはこれまで学校ですれ違ってたはずなのに、なんで今まで話掛けて来なかったの?」


「それは……ファンとして日常生活の『だ天使ちゃん』に近づくのはマナー違反だし、困るかな~って思ったからこれまでが学校ですれ違っても視姦してるだけだったんです」


 口をすぼめながら言う柚葉。

 いい子過ぎてないか? どんだけ真っ当なファンなんだよ。


 普通同じ学校に推しが居たら話掛けに行くだどう考えても。この学校にはそうゆうやつらが腐るほどいるし。

 ただのいい子じゃないのか? まぁ、視姦って言い方はやめた方がいいとは思うけど。


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