第21話 世の中そんなに甘くない
「よし! 今からツイートしよう!」
背筋を伸ばすと、シャキッとした声色でスマホを操作し始める。
「なんて書くんだ?」
俺も、双葉のスマホを覗き込み、内容を確認する。
「多分、硬い文章だと事務所に書かされたーとか言われそうだからやっぱくだけた文面のほうがいいかな~?」
「だな。会見の時くらいでいいと思うぞ~」
「まだ事務所と契約を切る手続きの最中で事務所からツイートを削除されちゃうかもしれないし、追加で訂正文とか書かれるかもだけど、ま、契約切れたらこのアカウント使えなくなるだろうし今やっておいて、あとはネット民のチームワークに任せるか!」
「事務所が投稿消した所でその前には拡散されてすごいことになるだろうしな」
「いっぱい謝罪のリプとかツイートとかが流れてきたりするだろうな~」
ツイートして1分以内に1万人がそれを目にして、自分だけは免れようとする自己中のリプライで埋め尽くされるだろう。
そして、スレや他に双葉に関するツイートのリプで自己中同士が罪の擦り付け合いを始める。
これは見ものだ。
「うっし! ツイート完了!」
「手際がいいな」
「おじさん構文みたいに絵文字いっぱい使ってみた!」
「流石にふざけすぎなのでは?」
ニコニコとしている双葉に、眉をひそめる俺。
「お…………やべーな」
自分のスマホで『だ天使ちゃん』のツイートを確認すると、もうそこはカオスであった。
『みんなごめんねぇ~(^▽^)/♡♡ Twitterに私の誹謗中傷とかその他諸々私に被害が出ることを書いた人はこれから地獄を見ることになるから覚悟しておいてね? (`Д´)
キモいガチ恋勢自己中たちには現実を見せてあげないといけないから~『元ファン』で今は『アンチ』のために私、頑張るね?
(*’▽’) 私を叩いてきた底辺の人達へ一言言ってあげるよ (^^)
『だ天使』でごめんね? (o^―^o)♡♡♡』
なんとも煽りが高い双葉のツイートには公開されてものの2分で1000ものリプライが届いて来ていた。
その内容のほどんどが、予想していた通り謝罪の言葉。
自分が不利になれば、少し前までの威勢はなくなり罪を免れようと真っ先に謝る。
二転三転と意見を変えるネット民。これを見たい双葉の気持ちもある。
俺も、表に立てるなら双葉を叩いた奴らに言ってやりたいものだ。
「世の中そんなに甘くない」
ってね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます