第19話 物理的に殺る?

「そんな事より早くエッチがしたいけどその前に作戦会議をしよう!」


「えなに急に」


 唐突に指をパチンと鳴らす双葉。


「明後日から学校があるわけで~、私は卒業するためにも通わなきゃいけないわけ。

 でも学校に行ったら色々とヤバい事が目に見えてる。だからこその作戦会議」


「具体的にどうゆう内容を話すんだ?」


「そんなの私の立ち回りに決まってるじゃん」


 そうだ。明後日から双葉は普通に学校に通わなくてはならない。

 となると、クラスメイトやその他学校の生徒からの襲撃が待っている。

 これを上手く交わさないとこれからの学校生活が終焉を迎えることになる。


「話し合ったからってどうもならないとは思うけど、多少はマシになるか」


「質問攻めとかは覚悟するけど、変に絡んでくるやつはどうすればいいかな」


「うーん、物理的に殺る?」


「どちらかというと社会的に殺りたいよね」


「真面目な話そうゆうやつは無視だな」


「多分もう学校とかもバレてると思うし、校門にも部外者が集まりそう」


「あー、変な奴が投稿したりしてるかもなのか」


 同じ学校の生徒が『だ天使ちゃん同じ学校なんだがww』とか上げて、学校が特定される。

 実にあり得る話だ。


「まぁ堅実に対処するのがいいと思うぞ俺は」


 炎上するのはあの場だけでいいだろう。これ以上自分の名前に傷をつけるのはマイナスでしかないからな。


「うんうん。あと彼氏の件とかどうしよう。そこがいちばんツッコまれると思うんだけど」


「確かに、一番気になるもんな」


「正直に可児くんって言った方がいい? 私はそっちの方が学校でも世間でも堂々とできるからいいんだけど」


「絶対やめておけ」


 顎に指を当てながら言う双葉の肩を掴む。


「なんで?」


「もう少し落ち着いてから言った方がいい。俺も周りに自慢したいのは山々だけど今は堪える時だ絶対」


 もし、今双葉の彼氏が俺だと公言したなら火に油を注ぐだけだ。

 学校はその話題で持ち切りになるだろうし、それが拡散されてニュースにも確実になる。


 そして、マスコミに俺までもが囲まれるのが目に見える。

 俺にヘイトが集まるという事は、比例して双葉にもさらに注目が集まる。それだけが避けたい。


 だから、しばらく待ってから言った方がいいだろう。

 学校では一年くらい双葉の件の話は続くだろうが、マスコミなんぞは一週間もしないうちに他の話題に移り変わるだろう。


 ただ、真新しくて話題性のあるものを日々報道したいだけの時代に囚われたポンコツだからな。


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