第17話 大炎上

 某SNSのタイムライン


『マジでありない』


『だ天使ちゃんあんな子だと思わなかった』


『失望した』


『普通に死ね』


『ファンのこと裏切っといてなにあの態度』


『開き直ってるのがムカつく』


『どうせファンのこと金でしか見てなかったクズアイドル』


『終わってるなだ天使ちゃん』


『やっぱアイドルはどれも同じだな』


『何を考えたらああゆうこと言えるのか気になる』


『流石にショックすぎる……』


『グッズも全部捨てたわ金掛けたのバカに思えてくる』


『金返せ!』


『クズアイドル』


『さいてー』


『一生アイドル推せなくなりそう』


『ワンチャン炎上商法だったり?』


『顔だけアイドル』


『ドクズ過ぎて笑えてくる』


『彼氏も同じ感じなんだろうな』


『最後の捨て台詞みないなのなに? 自己主張?』


『彼氏って一般人なんでしょ? 学校の人だったりして』


『ネット民こわwwだ天使ちゃん袋叩きじゃんww』


「そうそう私はこれが見たかったの! 最高の気分なにこれ!」


 ベッドにスマホを投げ、甲高く笑いながら双葉は言う。

 会見の数時間後、俺と双葉は都内のホテルの一室にいた。


 双葉をあのまま家に帰すのは色々と問題が起きるので、マネージャーがホテルを手配してくれた。

 家まで外で待機していたファンが付いてくるかもしれないし、犯罪に繋がりかねない。


 俺達は、関係者の車に交じってここまで来たからあとは付けられていないはずだ。

 ホテルを取る業務が最後の仕事になるなんて、双葉のマネージャーも思っていなかっただろう。


「いやぁ~! 言いたいことも言えたし今日の会見は満足過ぎる!」


「ネットは大荒れだけどな」


 俺は、スマホに表示されているネット民の反応を見ながらため息を吐く。


「それがいいんじゃない! もうみんなバカみたいに騒いじゃって可愛いかよ~」


「炎上している本人がこんなに楽しそうとか普通じゃありえないな」


「私はこれを見る為に会見であそこまで言ったんだよ? 楽しまなきゃ損じゃん?」


「確かに、あんだけやったらあとは反応見て楽しむだけかもな」


 ネット民、というか人間は凄いよな。

 集団の意見に流されたり、はたまた自分の納得がいかなくなったことがあればすぐに手のひら返しをしたり。


 尊敬できる。どうしたらそんな性格になれるのか。

 匿名という最強の防具を被って素顔も本名もされけ出している一人の少女を言葉のナイフで容赦なく刺している。


 確かに、双葉にも悪い所はあるのは重々承知だ。


 しかし、それを叩いていい免罪符にしてはならない。


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