第16話 ざまぁ
「私にいくらお金と時間を使ったって、私からしたらファンは私にとって赤の他人なんだから関係ない。別に私に恋人ができたり引退しても私の勝手。人生に口を挟まれる筋合いなんてこれっぽっちもないわけ。
それなのに、自分がお金を掛けてるからって偉そうに上から目線で自論を語ってはボロクソに叩く。マジで頭がおかしい。金と時間を掛けたからってそれが理由にはならないだろどう考えても!」
机をバンと叩くと、カメラに向かって指を差す。
騒然とする中でも、カメラは止まることなく双葉を追っている。
これが今、全国で生放送されてるんだよな……あとでTwitterでも見たらすごい事になってるだろうな。
「私のファンも凄いよね~、手のひら返しが。昨日まで推してたアイドルを次の日には叩いてるんだもん。それも彼氏がいるだけで。まぁ所詮そんなもんってことだよね。アイドルヲタクみたいなキモい連中は。
もちろん例外で凄くいいファンの子たちもいるよ? その子たちには申し訳ないと思ってるけど、そんないいファンはほんの一握り。ほとんどは自己中キモオタだもんね」
「流石に言い過ぎだろ~!」「なんだこの会見は!」
双葉の暴露に、流石に耐え切れなくなったのか2人の記者が声を荒げる。
だがしかし、
「そこ、連れ出して」
と、蔑むような目でその記者を見ながら言うと、警備がすぐさま2人を外につまみ出した。
その様子に、会場の誰も見ているだけで発言をしなかった。
「さて話過ぎたからそろそろ結論とでもいこうかな」
手をパンと叩くと、双葉はポケットからスマホを取り出す。
「今、SNSで私の名前を検索してみましょう」
スマホを操作し、エゴサをしてチェックを始める。
「ほら見て! トレンド一位だよ! しかもほとんど批判だ! そうそう私はこれが見たかったの! 怒り狂ってるこのざまを!」
俺もすぐさまスマホを開き確認する。
すると、画面に映しされたのは双葉が言った通り、『だ天使ちゃん爆弾会見』『だ天使ちゃんゴミ』『ファンを貶すアイドル』などとトレンドに上げられていた。
「だから私はネットとかで私を非難してボロクソ言ってるファンやその他部外者を見て言ってやるんだ」
席を立ちあがり、マイクの電源を切ると、
「ざまぁってね!」
会場に響くほどの声量で言い放つ。
そしてもう一度マイクを付け直すと、
「それでは会見を終了します。ご清聴ありがとうございました」
と、一礼すると舞台袖へと戻っていった。
その時、正面から視界になる脇の方でふと見えた双葉。
小さくガッツポーズをし、これまでにない清々しい顔をしていた。
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