第15話 反撃開始
「本題に入りますが、私がアイドルを引退した理由は大きく2点あります。一つ目が報道にも会った通り、恋愛禁止にも関わらず私には恋人いて、それを隠して過ごすのに嫌気が差したから。2つ目は、アイドル活動自体が精神的に、肉体的に限界を迎えたことです」
案外普通の会見だな。
もっとヤバい事をすると思って覚悟していたが、そんな事はなかった。
「恋人に関しては芸能人ではなく、同年代の一般人とだけ公言しておきます。そして、アイドル活動に関してなのですが、学業との両立が難しく、これ以上活動を続けていると、体調を崩し、皆さんに迷惑をかけると思い引退といった経緯に至りました。一番の理由は恋人がいるということですが」
一瞬、会場がざわつく。
「よし、可愛いのはここまでにするか」
スーっと深呼吸をするとマイクを手に取りため息を吐く。
「急に私に恋人がいるって報道出た瞬間どう思った? カメラの前にいるファン達。うん、分かるよ。目から血が噴き出るくらいの気持ちでしょうね」
クスクスとい笑う双葉。
そんな変貌ぶりに、会場は更にざわつきを始める。
「こんなにもお金と時間を掛けて応援してた推しがいきなり彼氏がいるから引退するって、そりゃ~怒りも湧くでしょね。でも、そんなの私には関係ない。あんたたちの気持ちなんて知ったこっちゃない」
「おいおいマジか」
突然口調が激しくなる双葉に、俺もおもわず声を漏らす。
やりやがったな。さっきまでは平和に終わると思っていたが、そうはいかなくなった。
その真逆を行く展開になりそうだ。
「お金をもらって、みんなに笑顔を振りまいて愛してるとか言ってたけどさ、それはあくまで仕事なわけで、私の私情なんて一切含まれてないわけ。
こうゆう時にアホは「こんなにお金を掛けてるのに裏切られた!」とか「時間の無駄だった!」とかほざくんだろうけど、でもさ、私だってオフの時でも、美容とかスタイルを維持するのにお金掛けてファンによく見られようとしてるから、別にそう変わりなくない?
まぁアイドルを続ける為で仕方なくなんだけどね。そこに関しては勝手にお金を掛けてるって意味では同じだと思うんだよね。
私は勝手に美容とかにお金を使って、みんなは勝手に私にお金を使ってる。頼んでもないのにだよ」
「そのくせに、曲がよくなかったりMⅤが不評だったりしたらキレてネットで叩いて不満を吐き出してる。今だって私に恋人がいるってだけで炎上祭り。
全く意味が分からない。
私はエゴサしていくら悪口が書かれてたってなにも言い返さない、ていうか言い返せない。アイドルっていう肩書きがあるからね。でも今はない」
ニヤっと不快な笑みを浮かべた。
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