第5話

駅前に着いた誠は人が多い場所に立ち、

好みの女性を探し出した。


『どうせなら可愛い子のほうがいいよな〜。

よし! あの子だ!』


ミニスカートでスタイル抜群の女性にターゲットを絞った誠はメガネをポケットから顔へと運び今度は迷わずスイッチに手をかけ、



『よ〜し。押すぞ!』


少し恐れながらも確実にスイッチを押した。




(・・・ま、マジかよ 

おいマジかよ・・・)



期待はしていなかったが、いや期待はどこかにあっただろう。

女性の裸がここで映ったことは誠にとって正解であった。

なぜならここで裸に見えなかった結果のほうがかえって恐ろしいからだ。

じゃあユキの裸はなんだったのか?

あれはいったい・・・

と、眠れない夜が続くはず。



(・・・・・・これは・・・


やったぜ~!)



心の中でそう叫ぶ誠。

男としてこの喜びはもはや宝くじに当たったようなものだろう。

こうなるともうこのメガネの不思議さや疑惑はどこかへ行ってしまった。。


【女性の裸が見えるメガネ】


ただそこ1点だけを誠は捉えた。


【このメガネは俺のものだ】



男として最高のアイテムを手に入れた誠は

溢れんばかりの喜びをこらえながらさっそく次のターゲットを探した。

駅前をデパートの中を、横断歩道で信号を待つ女性を。とにかく好みの女性を見つけてはスイッチを押した。


『よし! あの子だ!』


『次はあの子だ!』


次々と女性の裸を見て回り、もうこれで何人の裸を見ただろう。。。

もちろん女性の方はまさか裸を見られているとは思っていない。

今の誠にこれを犯罪だと思う思考もなく、

そう思えるような判断力もない。

腹の減り具合も忘れ、驚きも今やどこかへ。

そこにはただ夢中で女性を見つめ続けるメガネの男がいた。


するとそこに志村の彼女が偶然通りかかった。


『あっ! 先輩の彼女さんだ!』


志村の彼女もまた綺麗な人だった。

誠は見つからないようそっと近づき

スイッチを押した。


(うわ~! たまらねぇ~・・・

こんな綺麗な体と先輩は・・・

うらやましいぜまったく!)


見たい女性の裸がすぐに見えてしまう。

この映画のような出来事と行動は辺りが暗くなるまで続いた。

そして誠は一応男性も裸に見えるのか試してみたが男性は服を着たままの姿だった。


『ハァ~ 

なんという素晴らしい日なんだ!

こういうのをまるで夢みたいだって言うんだろうな~。ま、そろそろ帰るかな』


いい加減疲れたのか。

それとも楽しみはこれからさ!

と締めくくったのか。

お宝のメガネをしっかり握り締め

この神的な出来事を心で賛美しながら

タバコを一服し、帰ることにした。

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