第12話

 武器屋を後にして、しばらく歩いていると騒がしい一団が目に入った。


「あれはなんだ?」


 そう思って、近づいて行くとそこにいたのは、見覚えのあるおっぱい……ではなく、マナちゃんがいた。


「あ、マナちゃ……ん⁉」


 なんか騒ぎが起こってるけど、とりあえずマナちゃんに再会できてラッキー。

 そう思って、マナちゃんに声をかけた時、この騒ぎが何で起こってるかっていうことに気が付いた。


「だ~か~ら~、この俺が、君を俺の側室にしてやろうって言ってるんだよ~! わからないかな~ちみ~」

「は、放してくれなのですっ!」


 マナちゃんの腕を、一人の男が掴んでいる。

 

 男は、豪華絢爛ながらも、どこか趣味が悪い服を着ており、何処か小太りのおっさんを思わせる……っていうかまんまおっさんじゃねえか‼


 本当、何が起こってるんだ?

 思わず俺がフリーズしていると、こそこそと話す野次馬の声が聞こえてきた。


「……また、あれか」

「ああ、何時ものあれだ……」


 何時ものあれ?


「ああ、見た目が良い女性を嫁にするっていう……あれか」

「そうそう。まあ、嫁という名の性奴隷だが」


 ……は、何だって?

 嫁? 

 性奴隷?


 俺が固まっていると二人はため息をついた。


「まったく、なんであんな奴がギルド長に……」

「おいやめろよ、陰口をあいつに聞かれると面倒なことになるぞ?」

「そうだな……しかし、あの子も災難だよなぁ」


 えっと、つまり……マナちゃんは男の妻にさせられそうになってるって……そう言う事なのか?


 それに野次馬の男たちの話だと、こういうことがしょっちゅう起こってるっていう……そう言う事なのか?


「……なぁ? 悪い話じゃないだろう?」


 そう言って男は、マナちゃんの胸に手を伸ばした。


「ひっ……やめ」

「なんだい? もしかして俺の嫁になることが嫌ってるってわけじゃないだろう? ね~まあ~そんなわけないか~。だって俺に目を付けられたら、この街で普通に生きることは無理になるし~それに、この街で貴族なみに偉いこの俺が嫁にしてやろうって言ってるんだからね~拒否する理由はないよね~」

「いやっ……」


 そういって男はねちっこい声で、マナちゃんに顔を近づけた。

 明らかに嫌そうな顔をしている。


「それじゃ、そう言うわけで、マナちゃんが俺の嫁になることは確定だから~そのおっぱいも揉ませてもらうよ~」

「おいテメェ、俺の連れに何してんじゃボケがああああ!」


 そんなマナちゃんの顔を見ていたら……気が付けば体が動いていた。


 俺の拳がめり込む。


「……ブえええええ⁉」


 そうして、俺は気が付けば男の顔を殴り飛ばしていた。

 ……男は、俺の拳によって鼻血を流して地面に倒れる。


 一瞬の出来事に、呆気に取られていた空間だったが、次第に何が起こったのか理解した野次馬たちは、口を開け、叫んだ。


「「「ぎゃああああ⁉ ギルド長を殴り飛ばしたあああああ⁉」」」




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