第11話
「……完全にはぐれたな」
マナちゃんとはぐれてしまった俺は、人込みの中でそう言った。
「まったく……一体なんでこんなことに……」
あの後、武器の区画に歩いて行った俺達だったが、あまりの人ごみの多さから思わず手を放してしまい、人の波にのまれた俺とマナちゃんは離れ離れになってしまったのだった。
「いや……本当、人の波って恐ろしいよな」
そう言って、俺は立ち上がるとパンッとほっぺたを叩いた。
「ま、こんなところで待っててもマナちゃんと再会できるわけじゃないし……とりあえず、武器が出展されてる場所に向かって歩いていくか」
マナちゃんも武器の区画の方に歩いて行ってくれてるはず……たぶん。
バザー各地の壁にかけられてあるバザーの地図を見た。
「えっと……今いる場所は、食品の区画だから……武器区画は――あっちか」
そう言って俺は壁にかけられたバザーの地図を頼りに、歩いていく。
しばらく人の波に混ざりながら歩いていくと、ごつい鉄製の武器を扱うエリアが見えてきた。
「……お……おお⁉」
鉄製の武器が壁一面に立てかけられておかれているその光景は圧巻で、思わず声に出して驚いてしまう。
「これが異世界って奴ですかい」
なんていいながら歩いていくと、ふと目に留まった武器があった。
「……ありゃ?」
そう言って足を止めた俺は、その武器を見てふと呟いた。
「……銃?」
大きさは俺の手の平三つ分くらい。黒く塗装され、真ん中に回転する弾倉がある。
通称リボルバーと呼ばれるタイプの銃がそこに置いてあった。
「お、嬢ちゃんそいつが気になるのかい?」
俺がそうつぶやいたのを聞き洩らさなかった店主がすかさず声をかけてきた。
「そいつぁ、何でも異世界からやってきた人間が作った銃っていう武器だ。そいつを使えば訓練をしなくたって、一撃で魔物を仕留めれる武器なんだぜ?」
「へぇ……」
そう言って俺は、じっと銃を見つめる。
……かっこいいな!
いや、異世界っぽくはないけどさ! でも、銃ってかっこいいじゃん?
しかもリボルバーなんて……最高かよ。
「買うかい?」
「……うーん、いくら?」
「金貨50枚」
そう店主に訪ねてみるが……分からん。が、たぶん高いんだろう。
少なくとも今の俺は金貨の一枚も持ってない。
……ってか、お金なんて持ってない。なんでバザーに来ちゃったんだろうな、俺。
「うーん、欲しいけど……手持ちが無いからねぇ」
「そうか、そりゃ残念だ」
そう言って店主は俺に興味を失ったかのように目をそらした。
おいおい、手持ちがないとわかったらその態度かよ。
「……ま、いっか。とりあえずマナちゃん探さなきゃ」
そう言って俺は、最後に銃をちらりと見て人込みの中を歩き出した。
「マナちゃーん、どこ~?」
……それにしても、俺以外にも異世界から転生してきた奴がいるのかね?
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