応援コメント

第62話 初動」への応援コメント

  • 目隠し、意外と厳重だった(´ ゜∞ ゜` )引きちぎるのは、ちょっと痛そう…

    そして、裏拳の顔面直撃後に階段を転げ落ちていく親衛隊w(´・∞・` )哀れな…

    作者からの返信

    コメントありがとうございます!

    ノワラの不意打ち裏拳は威力が高そうです;

  •  作者 武緒さつき♀

     終章 ふたりの王妃
    第62話 初動
     私はご写本の間にいた。いつものご神託を聞く時間だ。だけど、今日はある決意をもってここに来ていた。
     聖女として人前に立ち続けた私であっても、かつてないほど緊張をしている。静寂が包むこの空間で、気持ちの整理をした後に私はここを飛び出した。

    「コンサドーレ! おかしい、この天書は偽物よ!」

     扉を出てすぐのところにいた彼は目を見開いて見つめてきた。私の声が階段を反響して上っていく。暗くて薄気味悪い空間に声が吸い込まれていくようだった。

    「天書が偽物だというのですか?」

    「うん、著者名が違う!本はそっくりだけど著者が八星〜と書かれている、こんなの初めてだよ? これまでは七星〜と書かれていたし、ひょっとして天書、すり替えられている?」

     彼は腕を組んで虚空を見つめた後、急に私に顔を近付けてきた。

    「まさかと思いますが……、『ドリゼラ様』ではありませんよね?」

     ――ぎくっ……。

    「コンサドーレよ、いくら私だってそこまでの悪ふざけはしないっての? ドリゼラ姉さんにご写本まで身代わり頼めるかっての?」

     ご明察です、コンサドーレ様。ドリゼラ・トレメインでございますよ。

     ここに来るまでの道中、私は心の中で100回以上多分呟いた。

     『今の私はシンデレラ・トレメイン私はシンデレラ・トレメイン私はシンデ……』

     コンサドーレ様は、私の胸元のネックレスに目をやった後に軽く首を捻っていた。私の首には白く輝く宝石がぶら下がっている。

    「失礼致しました。王妃様の衣装をしてお化粧をしているともはやあなたとドリゼラ様は同一人物なのです」

     よしっ! 内心凄まじく動揺してたけど、乗り切ったわ! 世界の劇団から引っ張りだこよ、ドリゼラ・トレメイン!」

    「しかし、天書が偽物とは……。なにか引っかかります。私は官房長に急ぎこの件を伝えて参ります」

    「私はここで待ってたらいいわけ?」

    「申し訳ありませんが私は急ぎますので、目隠ししてのシーラ様と一緒にはいけません。すぐに迎えをここに呼びますのでお待ちいただけますでしょうか?」

     彼はもう一言、「おひとり残して申し訳ございません」と付け加えて私に目隠しをした。

    「こんなときくらい目隠しどうこう言わなくてもいいと思うけど、コンサドーレはやっぱり堅物過ぎんよね?」

    「私どうこうではなくこれは規則なのです。心細いと思いますが、すぐにお部屋までの案内を呼びますからお待ちください」

     そう言い残して、彼の階段を駆け上がる音は遠ざかっていった。

     大丈夫です。連れ去られたときはこれとは比にならないくらい怖くて心細かったですからね?

    「むん!」

     私は目隠しを軽く引きちぎり、足音を殺してご写本の間からの階段を上っていった。すると上から、王妃様の親衛隊? と思われる人が2人ほど降りてきた。

    「シーラ様、勝手に上って来られては困ります。ここへ至る道はいかに王妃様でも知らせてはいけない規則なのです」

     2人の親衛隊さんは、それぞれ私を挟むように左右に分かれて各々で私の腕を掴もうとした。

     ――ごめんなさいっ!

     全力ではないけど、それなりに力を込めた私の裏拳が親衛隊さん2名の顔面に直撃する。さすがに王妃様に殴られるとは思っていなかったのか、まともに命中し、揃って階段を転げ落ちていった。

    「本当にごめんなさい、これでもストリート上がりのワルなんです。だけど私もう躊躇わないって決めたんです」

     階段を少し上った後に、下の2人が追って来ないことを確認してから駆け上がる。一番上まで来ると、両開きの扉があった。そこを開くと光が差し込んできた。それと同時に聞き慣れた声も飛び込んでくる。

    「ドリゼラ姉さん!こっちだよ!」

     待っていたのは、シーラちゃん。私に演じる才能があるなら、彼女には変装の才能があるのかもしれない。私が宮殿に入るときに着ている王宮の職員の服に身を包んで私を待ってくれていた。

    「コンサドーレの行き先はばっちり確認したよ、着いてきて!」

     シーラちゃんの背を追って、大神殿の見知らぬ廊下を駆け抜ける。もう後戻りはできない。私たちはコンサドーレ様の向かった先へと走っていった。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます!

    ストリート上がりのワルは笑う!