作者 武緒さつき♀
第41話 気付き
『エリザベート・グリーンヒル、高位神官の息女。15歳で王妃に選ばれ、以後20年間務める……』
太皇妃エリザベート様って15歳から王妃やってたんだ、ワタシより歳下じゃんかよ……。次は、と。
『ナザリア・ミッドレイ、大商人ミッドレイ家の一人娘。20歳で王妃に選ばれ、以後20年間務める……、か』
ナザリア様まではなんとなく記憶にあるなぁ、顔とかはっきり覚えてはいないけど。そいえば、最初の王妃様ってどんな人だったのかな?
『ザハミシバロック・フレイリー」記録上残っている最初に選ばれた王妃、出自や細かい任期は不明……、ふーん』
この人ってあれよね? 首都ハミシバの名前の由来になった人。すっごく昔の話だし「記録上」って書いてあるから、ひょっとしたらもっと前にも王妃様はいるのかもしれないけど、どうなんだろ?
過去の王妃様についての記録を見ながらワタシは考え事をしていた。聖女は女神様が選んでいる。なにか共通点とかあったりしないかと思ってみたけど、さっぱりだ。
若い人か幼いくらいの人からいつも選ばれているけど、年齢はみんなばらばら。出自にも共通するとこは全然見当たらない。ワタシみたいに孤児院育ちの親なしもいなかった。
ワタシが王妃様についてや国の歴史について調べているのは、突然「王妃」の自覚をもったからじゃない。
この前、ご写本の間にて手にした一枚の羊皮紙。ワタシは自分の解決策を天書に求めた。本来の使い方ではないし、こんな個人的なことをして許されるかもわからなかったけど、ドリゼラ姉さんを救う方法がそれしか思い付かなかった。
ワタシが天書のその記述に気がついたあと、長い思考を行った、やっぱりダメかと諦めかけたとき、その羊皮紙を運命のように手にした。
それは決して、ドリゼラ姉さんの居場所という直接的な答えではなかった。ただ、羊皮紙は2つ、ワタシの問いに対して答えをくれた。
『あなたの大切に思うドリゼラは、心配しなくてもすぐに見つかり、無事に帰ってきます。ご安心なさいと、呼びかけられているような気持ちになった。」
1つはこれだった。それを聞いたとき、最初はとても嬉しかったけど、やや遅れて、天書も戦争のための計略ばかりではなく「気休め」の言葉もあるのかと思った。
だけど、2つ目の記述を見たとき、考えが変わった。天書はやっぱり他の兵法とは違う、と……。
実際に、ドリゼラ姉さんは一晩明けた翌日の昼間に無事救出されたと聞いた。ワタシは飛び上がるほど喜んだ――というか、ホントに飛び上がっていた。
あとからドリゼラ姉さんと顔を合わせたときは、泣きそうなほど嬉しくて、体当たりするみたいに抱き着いちゃったくらいだ。
ドリゼラ姉さんとたくさん話してスッキリした後、ワタシは天書が記すもの、「2つ目」について調べようと思った。そして、天書の著者と王妃についても、もっともっと知りたいと思うようになっていた。
作者からの返信
コメントありがとうございます!
歴長め(笑)。
フムー、パーラは8年?(´・∞・`;)
もう1つの返事とは(´・∞・`;)むむむ
作者からの返信
コメントありがとうございます!
パーラは聖女に任命されてまだあまり期間が経っていませんね。
おおよそ1年くらいでしょうか。