作者 武緒さつき♀
第22話 内閣の意思
王宮の2階には会議室が設けてあった。十数人の審議官たちが集まり、そこで王妃シンデレラが連れ去られた事件について話し合いがなされていた。中央の席には最高位のキシーダ総大臣が、その左横の席には官房長マッツオが、末席にはコンサドーレの姿もあった。
ここに集まった者は皆、今回連れ去られた人物が王妃シンデレラ本人ではなく、身代わりの姉ドリゼラと知っている者たちだった。
「司書コンサドーレが付いていながら、なぜこのような事態になっておるのか!?」
「お言葉ですが、司書コンサドーレは兵士ではありませぬ。守れなかった親衛隊にこそ問題があるのでは?」
「それよりも事前に防げなかったことの方が問題です。内閣に反旗を翻す者たちがいる話は前々からあったではございませんか?」
「とにかく、早急に連れ去られた身代わりの王妃を捜し出さなくては……。かん口令を敷いておりますが、民衆の目の前で起こったことです。噂が広がるのは時間の問題かと」
「事件を見た者たちは本物の王妃様が連れ去らわれたと思っております。騒ぎが大きくなる前にいっそのこと、連れ去らわれた者は身代わり、と公表してしまった方がよいのでは?」
「影武者を立てていたことも問題にはなるでしょうが、事態を収拾させるにはその方がよいかもしれませんな?」
「連れ去った者共も、身代わりとわかれば案外解放してくれるかもしれませんぞ?」
さまざまな意見が飛び交う中、しばらく無言でいたマッツオが口を開いた。
「各々の意見を加味したうえで……、今日と明日をドリゼラ様の捜索にあて、シーラ様にはご公務をお休みいただく。それでも万が一、居場所を突き止められなければ、身代わりだと公表し、シーラ様に改めてご公務に復帰してもらう、これでいかがでしょう?」
マッツオの意見に対して誰も意義を申し立てなかった。誰もこの件に関しての責任をとりたくないのが窺えた。
「キシーダ様、いかがでしょうか?」
マッツオを隣りに座るキシーダにも問い掛ける。
「うむ、皆、マッツオの指示に従いましょう。まずは一刻も早くドリゼラ様の居場所を突き止め、救出するのです」
キシーダはここで一呼吸置いてから後を続けた。
「万が一、2日かけてドリゼラ様が見つからなかった場合は……、また、その時話し合いを致しましょうぞ」
総大臣の話が終わると会議は解散となった。
果たしてここに集まった者たちのなかに、王国内閣の地位や名誉、今後の活動についてではなく、ドリゼラの身を真に案じている者がいたのだろうか。
それは誰にもわからなかった……。
作者からの返信
コメントありがとうございます!
内閣!?
スーパーノワラの力をもってすれば、縄を引きちぎり、拉致犯も引きちぎり、壁に穴をあけて脱出できそうですけど、中身は乙女ですからね…(´・∞・`;)
所詮は影武者…。教団の対応は、組織としては妥当な判断だけど…(´・∞・`;)サフィール…!男を見せろ!
作者からの返信
コメントありがとうございます!
怪力=戦える、ではないところが難しいところですね……。
「影武者」に対して教団は動いてくれるのか。