第8話
「ごめん。気持ちは嬉しいけど、今は誰とも組む気は無いんだ」
平静を装い、相手の気を悪くしない様にやんわりと誘いを断る。誘われているということはそれだけ即戦力になると思われているからだろう。
セツナと共に最強を目指し、2人で手にした力を認めてもらえた様で確かに嬉しさと達成感はあった。
しかし腹の中はあの日からずっと煮えたぎっていた。だからだろうか。
「まだ死んだアイツのこと気にしてんの?」
「は?」
こんなにも目の前の男に殺意が湧いてしまうのは。
「魔術も使えない様な奴より俺の方、が、あ、ぐぎぎぎぎぃ……」
気づけば体が動いていた。右手は1人でに主の思考を代弁するかの様に目の前の男の首を今にも握り潰そうと締め上げていた。
「何してんだ!?」
他の生徒達が一斉に駆け寄ってきて首を絞めていた私の手を払いのけ、男を庇う。
「いくらなんでもやり過ぎよ!」
「へぇ、こう言う時は助けるんだ」
騒々しい有象無象を鼻で笑う。
「君たちさ、毎日毎日誘ってくる彼らを断ってるボクを面白がってみてたよね?」
論破されて「それは……」と言い淀む奴、「手は出してないだろ」と逆ギレする奴、ああうんざりだ。
「ちょっと才能があるからって調子に乗り過ぎ」
小声でそんな声が聞こえた。そうか、そう言うこと言っちゃうんだね。なら、仕方が無い。
こういうのは嫌いだけど
「なら全員でかかって来なよ。誰か1人でもボクに勝てたら土下座でもなんでもしてあげるさ」
右手に自身の得物、トロウペントと名付けた歪な形の杖を呼び寄せ、突きつける。
「その代わり、ボクが勝ったら今後一切ボクに関わらないと誓ってもらうよ。けど、口約束じゃ信用できないからね……まあ、それについて考えるのは勝ってからのお楽しみだ」
セツナを侮辱したこと、後悔させてあげるよ。
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