第6話
「そうだ、セツナくん。セネアにお礼は言ったかい?血まみれで気を失っていた君をここまで運んできて今日まで看病していたの、彼女だよ」
「そうなんですか?」
「……」
当のセネアさんは特に気にした様子もなくただペナードさんの言葉に軽く頷く。
「ありがとうございました、セネアさん。ところで、どうして俺を……?」
俺の問いにセネアさんは少し考え込むと
「たまたま?」
首を傾げながらそう答えた。
「たまたま……」
「そ、たまたま」
ガクリと全身の力が抜けてしまうが彼女が俺の命の恩人だと言うことに変わりはない。感謝しなくてはならないなにせ
「(アイツらに復讐するチャンスがまだあるのだから)」
父がそれを望んでいなかったとしても関係ない。父を殺し、母をあんな目に合わせたアイツらを地獄に叩き落とさなくては気が済まない。生まれたことすら後悔させてやる。
「………君、危ういね」
「どういうことですか」
セネアさんの唐突な言葉にビクリとする。
「放っておいたら死にそう」
「………」
言葉が出ない。確かに今の俺ではそこいらの騎士が束になっただけでかなり追い詰められる。セネアさんの言う通り、いずれ死ぬだろう。
なにも得られないまま。
「でもその激情、僕は気に入ったよ。君、僕に飼われる気はあるかな?」
「……?」
「僕の私兵にならないか、って話さ」
ペナードさんはそう言ってニヤリと笑う。
「セツナ・カタラギ。15歳という若さで【
「………貴方に着いていけば、奴等を地獄に叩き落とすことができるんですか?」
「それは君次第だね」
奴等を皆殺しにできるのなら俺は悪魔にだって魂を売る覚悟だ。まだ半信半疑だが、とくに目の前の彼女、セネアさんは少なくとも今の俺やシグより数倍強い。
「(さらに力を手に入れられるかもしれない)」
なら答えは一つだ。今更後に引けない。
「分かりました。ペナードさん、俺は貴方に従う」
「ようこそこちら側へ。君は今日から【影】の一員だ」
いつの間にか賑わっていたギルドの姿はなく、代わりに黒いフードを被った謎の人物達が。
「………」
セネアさんもその中にいた。
「光とは闇の中でこそ一層強くその輝きを放つ。君の闇に期待しているよ」
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