第4話
セツナが去って数ヶ月後。何もなかったかの様に日常が過ぎていった。
「あんなことが、あったと言うのに」
変わらない光景に腹が立つ。
「シグナちゃん、もうご飯の時間だよ?」
「うん、すぐ行くよ」
寮のおばさんに呼ばれ部屋を出る。あれから毎日がつまらない。一緒に頑張って来た相棒も憧れだった存在も居ないこんな毎日、面白い筈がない。
「シグナちゃん、友達出来た?」
「ううん、まだ」
「……そっか」
友達なんか出来るわけがない。何せ私が遠ざけているのだから。
「成績はどう?」
「一応上位はキープしてるよ」
「ソロで?」
「まあね」
私の大切な人たちは一瞬のうちに2人も居なくなってしまった。守れないのに大切な物を持つなんて厚かましい。
「今は大丈夫かも知れないけど騎士ってのは集団戦が重要になってくるからね。ちゃんと仲の良い人作るんだよ?」
「(騎士?そんな物もうどうでも良い。私がなりたかった騎士はもう居ない)」
それに1人でなれないような物に用はない。私は1人で強くなってみせる。
「(いつか、いつかセツナが戻って来た時……セツナに笑われない為にも……)」
「シグナちゃん?」
「何でもないよ、おばさん」
「そう?なら良いんだけど、何か困った事があったらいつでも相談していいからね?」
「うん、ありがとう」
2度と大切なものを無くさない為にも、私は強くなってみせる。
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