第九話体育祭「前編」
今日は白軍赤軍に分かれて戦う体育祭。
ほたるのクラスは赤軍であった
ほたるはうきうきしながらも少し不安になりながら登校していた。
「今日であってるよね」
「周りに同じ高校の人が居なくてこわいよ~」
今日が体育祭で無かった場合、ほたるは体育着で学校に登校するおかしな人になってしまうため不安になっていた。
しばらく歩いて居ると、にちかと会いにちかも体育着で安心したほたるであった。
「おはよ~」
「よう! ほたるおはよう!」
「にちかは元気だね」
「なんたって今日は体育祭だぜ、楽しみじゃないわけないだろ」
「にちかはいいよね運動得意で……」
「ほたるも運動出来る方だと思うぞ」
「そうかな~」
「そうだぞ! この前の持久走のときクラスの早いグループに追いついてたじゃん」
「でもあれは最初だけで結局最後は後ろの方に居たからそんなことないよ」
「いや! ほたるは頑張って早く走ろうとした、そのやる気さえあれば運動出来ると名乗っていいとおもうぞ」
「そんな名言ぽいこと言ってるけど結局それ一定のペースで走れてないことを良いようにいっただけじゃん」
「確かにそうだな」
「認めるんだ!!」
しばらく歩き教室についた。
「なんかいつもと雰囲気違う感じ……」
「まあみんな楽しみってことだよ」
クラスの中は体育祭独特の雰囲気となっていた。
その後椅子の移動や長い校長先生の話を聞いた後、準備運動をしてやっと競技が始まった。
競技は全7個その競技を制した数が多い軍が勝ちとなる。
陣地の席は教室と同じ配置になっていてゆりかと隣であった。
「最初は二年生の競技だから暇だね~てか校長先生の話長すぎでしょ」
「うん、本当に長かった、10分ぐらい話してたと思う」
「ほんと生徒の気持ち考えたことあるのかな?」
「ね~」
ここで応援団長が号令をかけた。
「二年生を応援するぞ! 前に出てきてください!」
声高らかに号令をかけると、応援団たちがそれぞれ声をかけ、全員を前に出させた。
「これ全員でやる必要あるのかな~」
「うん、応援団だけでも良さそうだよね」
二人は渋々指示に従い応援をした。
競技の結果は惨敗であった。
次は一年生最初の競技綱引きが始まろうとしていた。
ほたるたちは綱の横に立ち、もうすぐ競技がはじまろうとしていた。
皆が黙り真剣な雰囲気となっていた。
「ピー!!」
開始の笛がなり精一杯縄を引く。
だが無情にも縄は前へと進んでいた、その縄の感触はまるでクマにでも引っ張られているようであった。
「ピー!!」
終わりの笛がなり白軍はにぎやかに喜んでいたが、赤軍は終始静かであった。
その後午前の競技は終わりお昼ごはんとなった。
「いや~きついね今回負けちゃうかも」
午前の競技の結果は三戦三敗、絶望的である。
お弁当の時の四人の空気感も心なしか落ち込んでいるようにも見えた。
「うんそうだね」
「うん」
だが一人だけは落ち込んではいなかった。
「おいおいそんな暗くならなくてもいいんだぜ! まだ負けたってわけじゃないんだし、負けたって死ぬわけじゃないんだから、ほらもっと明るく行こうぜ! 体育祭は楽しまないと!」
少し沈黙が続いた後ほたるが口を開いた。
「うんそうだよ、楽しまないと意味ないもんね」
「うん、そうだね楽しまないとね」
「暗い気持ちでいちゃだめだよね」
四人はにちかのおかげで落ち込んでいた気持ちが晴れて行った。
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