第3話
「・・・まだヒリヒリする。」
夕焼けが赤く空を染め上げている中
俺は昼休みの購買を買いに行けなかったことを
理由に殴られた頬をさすりながら
歩いて下校していた
学校から家まではそれほど遠くはない
だが、そこまでの道のりが険しいために
帰る時間はいつも少し遅くなってしまう
なぜそんな面倒なところに住んでいるのか
というと訳があるのだが・・・
「みてみて~、これ可愛くない?」
突然後ろから声が聞こえ
思わずチラッと後ろを振り向く
「お、そのキーホルダー新しく買ったのか?」
「うん!見つけた瞬間にビビッときちゃってさ~。」
どうやら、同じ学校のカップルらしい
結構大きな声で話しているので
否が応でも耳に入ってくる
「どうかな?カバンにつけてみたけど、似合ってるかどうか自分でも不安なんだよね・・・。」
「いや・・・ぜんっぜんありだぞ。まずつけてる人がいいから、そこでもう及第点突破しちゃってるし・・・。」
「もう~。それ、ただ私の事褒めてるだけじゃん!」
そこでそのカップルと行く道が
分かれてしまったため
その先の会話がどうなったのかは
俺も知らない
でも・・・なんだろう
なぜかとても心が締めつけられた
ここ最近感情がここまで
昂ったのは初めてかもしれない
考えれば考えるほどに苦しくなって・・・
「・・・やめよう。なんか、嫌だ。」
これ以上訳の分からない苦痛に襲われるのも
気が引けたからそこで思考を止める
「帰ったら・・・早めに寝るか。」
翌朝___
「・・・おはよう。」
今日も誰もいないリビングに向かって
そう呟く
考えてみると、この行動は謎だが
そこでは別にそこまで気にしなかった
「昨日よりは・・・楽そうだな。」
いつものように荷物の整理や確認を済ませ
あいつからのメッセージが来ていないか
確認してみる
「あれ・・・?」
そこで俺はある事に気がついた
いつもは絶対に着信が来るはずのない
メールアプリに
一件、入っているのだ
少し驚いて確認してみると
送り先不明で"界賀谷駅"と題名のついたメールが
一番上に表示されていた
界賀谷というと
ここから二番目に近い駅だ
でも、どうしてこんなピンポイント
・・・ではないが
指定出来たのだろうか
気になることはあるが
迷っていても仕方がないと思い本文を開く
すると、そこには
こんな文章が書かれていた
"突然の連絡申し訳ありません
8月7日に界賀谷駅で会って
話したいことがあります
私の身元と目的に関しては
今は訳あって話すことは出来ませんが
応じて頂けると助かります"
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